翌週、私は彼をデートに誘った。映画を見た。フランス人もビックリするくらいいちゃいちゃした。映画の後はレストランに行った。レストランまでは歩いて行ったのだが、手をつないで、立ち止まってはキスをした。

「ねぇ、僕の事好きになならないでね。テツコはまだ19歳だし、僕は悪い大人だから・・・」
「なんで?」
「だから・・・」

私の事好きじゃないのかな?映画館で散々いちゃついたのに。若くて可愛いから、一回くらいデートしてもいいと思ったのかな?誰かほかに好きな子がいるのかな?付き合ってる子がいるのかな?もしかしたらMY? 何でもいい。落とす。

その夜、私は彼と寝た。

翌週金曜日、彼の家の夕食に招待された。試飲会のメンバーと、彼の友達4人。私はSとMYを観察することにした。どうやら、私の思ったとおり、SはMYに気があるらしい。MYも嫌ではなさそうだ。

勝つ。負けてたまるか。この私と寝たのにヤリ逃げなんて許さない。

しかし、その夜、私は負けた。Sは私ではなくMYを選んだ。

家に帰っても、あまりの悔しさで眠れなかった。土曜日、一日中何も食べられなかった。日曜日、MCの家の昼食会に行った。SとMYは二人で一緒に来た。ここで、無視したり、よそよそしい態度を取っては、それこそ負けだ。しごく普通に振る舞った。悔しがってると思わせてはいけない。 

SもMYも恨んだりはしていない。恨んでいるのは自分自身だ。S一人落とせなかった自分が。恥ずかしかった。悔しかった。MYに負けた自分自身が情けなかった。

翌週日曜日、MCの家で誕生日会が行われた。もちろんSもMYもきていた。

Sはもう私に興味無いのかな。
確かめてみた。MYの目の前で抱きついたりイチャついたり甘えたりしてやりたい放題やった。Sはまんざらでもなさそうだ。3度目の正直。いや、まだ2度目だ。もう一度チャンスがある。

周りから白い目で見られているのは分かっていた。これで何人友達を失うのだろう。そんなことは構うものか。
こうなりゃ意地だ。体を使ってでも、卑怯なことをしてでも、どんなことをしてでも手に入れる。失うもの方が大きいかもしれない。それでも、欲しいの。

MYは私とSのとんでもない光景を目の当たりにして途中で帰ってしまった。その時、こころの中で「勝った」っと思った。しかし、帰ろうとするMYを見つけたSは帰らないでと言わんばかりに玄関でホットなディープキスをしていた。この悔しさ、一生忘れるもんか。

誕生日会も終盤に近づいたころ「テツコ、ちょっとこっちにきて」とSに部屋の外に呼び出された。天国か地獄か。

「ねぇ、僕はやっぱりテツコが好き。」

素直に喜ぶべきか否か。それが問題だ。