彼は、忙しい人でした
そしてとてもキャパがない人だった。
浮気、暴力、ハラスメント、借金といった問題は一切なかったのだけれど、仕事に一生懸命になると他の事に気が回らない人だった。
初めは、そんなことくらい大したことないと思っていた。
お金は稼いでくるし、プレゼントは何でも買ってくれるし。欲しかったマンションも買ってもらえて、それなりに裕福な生活だった。
私も働いていて忙しかったし、彼も仕事の特性上、帰りが2時3時なんてしょっちゅう。
1か月のうち、夫婦で一緒に夜ご飯を食べられる日はとてもとても少なかった。
でも共働きってそんなもんだと思っていた。
結婚して2年が過ぎ・・・
私は29才になり、子供をどうしようか考えてレディースクリニックへ行きました。
一通りの検査をしてもらった結果、そこで、子宮内膜症があると診断され、子供を作るなら早い方が良いとのアドバイスが。
それを彼に報告した所、「じゃあ早く子作りしないとっ」と、とても乗り気に。
だけど。
私が熱で仕事を休んで寝ていても、自分の食事だけ買って帰ってきちゃうような人。
せめてポカリとかヨーグルト買ってきてよ!って切れたら「いやだって、連絡なかったから寝てるのかと思って・・・」と。
決してわざとじゃないんです。
意地悪しているわけではない
ただ、気が利かない。気付かない。思い遣りがない。相手の事を考えられない。
今だから言える。結婚は、生活だから。
結婚生活において、日々の相手への思い遣りって本当に大事。小さなことが積み重なると本当に大きなストレスになる
買っておいたたった一つのデザートがいつの間にか食べられていたり、二人の休みが久しぶりに合った日に、勝手に友達との予定を入れられていたり、食べた食器を一切洗わずそのままにして、平気でテレビを見ていたり、お酒を飲んで酔っ払って帰宅して、シャワー浴びずにそのまま寝たり。。
少しずつ、少しずつ、不快に思うことが増えていき、ボタンが掛け違っていって。ふと気が付いたらもう、どこからボタンを掛け違えていたのか分からなくなっていた
その頃から、SEXをする気になれなくて、私は「性行為が好きではない」と彼に伝え
(本当はそんなことないんだけど)
人工授精をしての子作りを提案し、
彼からすんなりOKをもらいました。
これは有難かった!
同じように27、28才で結婚した友人がこの頃、どんどん妊娠していくのを見て、
私も子供を作れば、この夫婦間の変な違和感はなくなるだろうと考えたのです。
そしてインターネットで評判の良かった、
丸の内の杉山産婦人科へ
広くて綺麗で清潔で、名前ではなく番号管理されていて、看護師も医師も無駄なことは話さず。その無機質な空間が、私には心地よかった。そこで人工授精を3回したものの、結果は陰性。だけど今思うと、このときに子供が出来なくて本当によかったと思う。
経済的に余裕もあり、外見も悪くなく、性格は温厚。結婚生活において、価値観が少し合わない位、別になんでもないと思っていた。
でも、性行為が出来なくなると、キスが出来なくなる。手も繋げなくなる。
今思うとおかしいけれど、キスもできない相手との子供をその時は作ろうとしていた。
そのうち本当なら何でも話せるはずの相手が、夫ではなく、親や友人になっていき、
自分の休みの予定と、相手の休みの予定を合わせなくなっていき、食事を共にする回数が減って、小さかった違和感がどんどんどんどん、大きくなっていった、結婚3年目。
私、たぶん、この人の事、好きじゃない。
そう気が付いて、「離婚」 という選択肢を
真剣に考え始めたのは、
私が30才を過ぎた頃でした。