大桑層の化石【 タウエヌノメハマグリ 】 | 関東化石採集の旅

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皆様、こんばんは。
埼玉の今夜は暴風雨に見舞われています。久しぶりの雨ですが、ちょっと強すぎますねぇ~
(>_<)

さて、今夜も大桑層の貝化石で更新です。
鋸南の化石は、まだ、未クリーニング状態なので、ブログに掲載するのには時間がかかります。
コニアシアンさん、しばらく待って下さいね!
(^-^)



それでは本題です。本日の化石も絶滅種です。
殻は厚く堅固なのですが、ヒビが入っているとバラバラに成りやすいです。




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マルスダレガイ科
和名:タウエヌノメハマグリ
学名:Pseudamiantis tauyensis (Yokoyama,1927)
殻長:73.41mm
殻高:63.60mm
産地:石川県金沢市大桑町 (犀川右岸)
産出層:大桑層
産出頻度:普通
特徴:殻は大きい個体で80mm程度の亜三角形。殻質は厚く堅固。殻高/殻長比は80~90%程度。殻頂は前方に位置し(ほぼ殻長の1/4前方)尖っている。殻表は本属を特徴づける細かな放射肋が発達し、強い成長輪で切られ交差する。この放射肋は殻の中央部では明瞭であるが前後縁部ではほとんど見られない。しっかりとした主歯と前側歯2本(前側歯:右殻では1本)。内面は2つの同じような卵形筋痕が明瞭で、外套線湾入はかなり深い。腹縁は刻まれない。小月面も楯面も見られない。



【合弁標本】

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殻長:57.73mm
殻高:49.52mm
殻幅:34.90mm
産地・産出層・産出頻度は同上

※この合弁標本は、みたらしさんから頂いた標本です。
みたらしさん、今回も御礼を言わせて下さい!
本当にありがとうございました。m(_ _)m



ここで『タウエヌノメハマグリ』の類似種と関東地方で良く採集できる現生種(化石ですけど…)を比較したいと思います。



【類似種のビノスガイ】

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マルスダレガイ科
和名:ビノスガイ
学名:Mercenaria stimpsoni (Gould,1861)
殻長:81.45mm
殻高:65.71mm
産地:千葉県香取市伊地山
産出層:下総層群 上泉層?
産出頻度:多
特徴:殻は厚く、殻頂は前傾し、小月面はくぼむ。楯面は鋭い稜角で区画される。殻表は規則的な鋭い輪肋があり、間に微細な成長線がある。こう板には極めて強い3主歯があるが、側歯は無い。
套線湾入は鋭いが浅い。腹縁は微細に刻まれる。



【タウエヌノメハマグリとビノスガイを比較】

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※形状は『タウエヌノメハマグリ』の方が楕円形に近いです。また、殻幅も高いですね。殻頂の傾き具合は本当に類似しています。この画像からでは確認が難しいですが『タウエヌノメハマグリ』には『ビノスガイ』に存在する小月面・楯面と言われる箇所は存在しません。



【タウエヌノメハマグリの内面腹縁部拡大画像】

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【ビノスガイの内面腹縁部拡大画像】

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※『タウエヌノメハマグリ』には腹縁部に細かい刻みはありませんが、『ビノスガイ』には細かい刻みが存在します。



【タウエヌノメハマグリの殻表拡大画像】

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【ビノスガイの殻表拡大画像】

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※『タウエヌノメハマグリ』も『ビノスガイ』も殻表の構造は極めて類似しています。パッと見では判別不可能だと思います。



もう1種類、比較です。



【類似種のエゾヌノメアサリ】

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マルスダレガイ科
和名:エゾヌノメアサリ
学名:Callithaca adamsi (Reeve,1863)
殻長:71.90mm
殻高:63.89mm
産地:千葉県印西市吉高
産出層:下総層群 上岩橋層
産出頻度:少
特徴:殻は丸みを帯びた卵形。殻質はやや厚い。殻表は薄板状の輪肋と放射細肋で覆われる。




【タウエヌノメハマグリとエゾヌノメアサリを比較】

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※形状には個体差があるものの『エゾヌノメアサリ』の方が亜四角形で円形に近い形状をしています。『エゾヌノメアサリ』にも『ビノスガイ』と同じように小月面と楯面が存在します。


【タウエヌノメハマグリの内面腹縁部拡大画像】

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【エゾヌノメアサリの内面腹縁部拡大画像】

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※『エゾヌノメアサリ』の腹縁部にも細かい刻みが存在します。




【タウエヌノメハマグリの殻表拡大画像】

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【エゾヌノメアサリの殻表拡大画像】

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※『エゾヌノメアサリ』は『ビノスガイ』よりもさらに『タウエヌノメハマグリ』の殻表の構造が類似しています。
形状と殻表の構造だけでは、鑑定が難しいことが良くお判りかと思います。



本日は、ここまでです。
難しい解説になってしまいましたが、これが貝化石マニアの世界です。(笑)
次回の更新も大桑層の絶滅した二枚貝で更新予定です!
お楽しみに!(^_^)ノ