大桑層の化石【 オンマイシカケガイ 】 | 関東化石採集の旅

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皆様、こんにちは。
金沢から帰ってきてから、早2週間が経過しました。
採集した化石は、少しづつクリーニングを初めて、大きな塊は、ほぼクリーニングが終了しました。今は崩れ易い母岩を固めるため、木工用ボンドを水で薄めて全面に塗りまくっています!


さて、本日は産地の名前が付いた大型二枚貝です。今では『大桑(おおくわ)』と言う呼び名になっているそうですが、昔は『大桑(おんま)』と呼んでいたそうです。




【 第1標本 】

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ザルガイ科
和名:オンマイシカケガイ
学名:Clinocardium fastosum (Yokoyama,1927)
殻長:98.18mm
殻高:89.16mm
産地:石川県金沢市大桑町(犀川右岸)
産出層:大桑層
産出頻度:多
特徴:殻は大型。薄質で良く膨らむ。殻頂は前方に位置し、ゆるく前方内側に曲がる。殻表は、わずかに丸く盛り上がった放射肋と数本の周期的な強い成長輪で刻まれる。この放射肋は殻表の前後縁辺では不鮮明であるが、その数55本弱を数える。また、放射肋は互いに密接しているが腹縁辺ではその肋間の幅とほぼ等しくなっている。本種は放射肋が丸く盛り上がる特徴があり、イシカゲガイ亜属Keenocardiumに属するものと判断される。
なお、大桑層からは類似種の【 チカガワイシカゲガイ Clinocardium chikagawaense (Kotaka,1950) 】も産出します。チカガワイシカゲガイは、三角形に尖る放射肋の形状、放射肋の本数が38~39本とオンマイシカケガイより少ない特徴に違いがあります。詳しくは、後日、画像を掲載して解説をいたします。

※『学生版 日本古生物図鑑』の解説です。



【 第2標本 】

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殻長:78.16mm
殻高:74.93mm
産地・産出層・産出頻度は同上。
※ なお、共産化石は【 ナガサルボウ Anadara amicula elongata (Noda)】です。特徴の解説は後日行います。




『オンマイシカケガイ』は、イシカゲガイ亜属と言う事なので、千葉県印西市産の『イシカゲガイ』と比較をしてみます。


近似種の【イシカゲガイ】

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ザルガイ科
和名:イシカゲガイ
学名:Clinocardium buellowi (Rolle,1896)
殻長:42.16mm
殻高:36.01mm
産地:千葉県印西市吉高
産出層:下総層群 木下層
産出頻度:少
特徴:殻は前後に長い卵形。良く膨らむ。殻表には32本前後の放射円肋があり、肋間は狭い。腹縁内面は刻まれる。



【オンマイシカケガイとイシカゲガイを比較】

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※大きさが極端に違いますが、放射肋の形状は同じ蒲鉾型です。
しかし『オンマイシカケガイ』の殻頂付近だけを観察すると大きさ的にも『トリガイ』の方が似ていると思いますけど…




近似種の【トリガイ】

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ザルガイ科
和名:トリガイ
学名:Fulvia mutica (Reeve,1844)
殻長:77.68mm
殻高:73.11mm
産地:千葉県印西市山田
産出層:下総層群 木下層
産出頻度:多
特徴:殻は薄質で球形に良く膨らみ、後端はわずかに開口する。殻表はほぼ平滑。腹縁内面の刻みは不明瞭。



【オンマイシカケガイとトリガイを比較】

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※遠目で見ると『イシカゲガイ』より似ているような気がします。


各ザルガイ科の放射肋を比較してみましょう!


【オンマイシカケガイ】

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放射肋の断面は蒲鉾型です。放射肋の本数が多いので大型の割には、放射肋の幅は狭いです。肋間はほとんどありません。


【イシカゲガイ】

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『オンマイシカケガイ』と同じで、放射肋の断面は蒲鉾型です。小型の割には放射肋の本数が少ないため幅が広いです。『オンマイシカケガイ』と同じで肋間は狭いです。


【トリガイ】

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放射肋は『オンマイシカケガイ』や『イシカゲガイ』に較べるととても低くやや不明瞭です。放射肋の幅と肋間の幅がほぼ等しいですね。


※ 放射を拡大して比較をしてみると確かに『トリガイ』より『イシカゲガイ』の方が『オンマイシカケガイ』は形状が類似していますね。





今日は、ここまでです。
そろそろ年賀状の用意をしなくてはいけませんね。
今年は、どんな絵柄にしようかな?(?_?;
皆様は、もう絵柄が決まっていますか?
(^_^)ノ