病院へ行ったら
母が珍しく目を開けていた。

追視もしている。

時折口を動かして

何かを喋りたい?

唇が震えるばかりで
声はない。

肩も震える。

何かをしたいのだろうか。
言いたいのだろうか。

手を握ると
感覚が伝わる。


点滴の分だけ
尿は出ている。
でも
浮腫んでいる。

腎機能が落ちているんだろうな。

大嫌いな
痰の吸引にも
無抵抗。

耳元で
「今日はおじいちゃんの誕生日だよ」と言ったら
また目を開けて
じーっとこちらを見ていた。

今日はいつまでも
そばにいたいなと思った。

でも
いつもどおりに
病院を出てきた。