学生の頃「ナイン・ストーリーズ」を読んだ
他の、どんな人が書く文よりも
易しい言葉で説明のない
近しさを感じる文体は
異彩という言葉がとても似合った
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私にとってのサリンジャーは
物語の中に登場するお話
「BANANA FISH」に登場する
「バナナフィッシュにうってつけの日」
「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」に
笑い男事件を解く鍵として登場する
「ライ麦畑でつかまえて」
でもね、小説そのものには
さほどの思い入れもなくて。
それよりも、あの小説を生んだ人、サリンジャーの人となりに、興味津々で観ました^_^
サリンジャー作品に思い入れのある人ほど
この映画は、観てられないんじゃないかなぁ。と感じた。
彼の人生に
戦争が、色濃く影を落としていて
作家人生にもね。
ただ、戦争がなかったら
ホールデンの物語は、私たちが受け取ることも、なかったのではないかしら。
彼が言う
「しっくり来る場所がない」
「書けば 思っていることがはっきりする」
その通りに、書くことはやめず
ただ出版することをやめた彼は
自身が告白するとおり
父や夫、友になる術を知らない
究極の(?)不器用さ。
「現実よりフィクションに 真実味を感じる」
と言った若者、そのままだ
サリンジャー以上に
彼に書くことを教えた
ケヴィン・スペイシー演じる「ストーリー」誌編集長バーネットに惹きつけられた。
そう、1人の役者(しかも脇役)に惹かれちゃうのは、
物語には入り込めてない証拠。
分からないところが沢山ある、サリンジャーの半生そのままにね^_^
狂騒は外。
外側にいる私たちは、どんなに近づこうとしても
彼の書き表したモノ以外には近づけない。
葛藤が、彼自身の中で続いたように
私たちも、彼自身を知りたいと思っても、どこか手が届かない。
それでも映画を作ろうとする心意気に拍手だ。
公式サイト
22-11-5のトライアングルは
大き過ぎて 他者には理解しがたいもの、だったのかも。
☆☆☆☆★
言葉が、溢れ出す時がある
嵐のように、吹き荒れているのか
マシンガンのように、誰かに叩きつけたいものなのか
泉のように、湧き出ているものなのか
どんな言葉もあなたで
出していけない言葉などなく
彼のように
出し続けたからこそ
戦争という過酷な中を潜り抜け
出版というカタチで
認められる喜びも味わった
ただ彼は、彼自身に
誰よりも彼自身に
認められたかったのではないかしら
今の時代に、サリンジャーが生きていたら
私たちはもう少し、彼の作品を
楽しむ機会を多く持てたのかもしれない。
そこに、ホールデンが居たのかどうかは
もちろん、分からないけれど。
それも、数の仕合わせ。
★★★☆☆
3/28は潜在数秘術の日♪
オープンセッション
https://ameblo.jp/sna-jp/entry-12435177055.html
《かずの葉の庭》主宰
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