原題の「THE ICE KING」
ホント、そのまんま!
これほど、タイトルに対して中身が遜色ない作品も珍しい。
映画も、そして御本人も。
(あらすじ)
僕の魂には、才能と同じだけ
悪魔が宿っているー
アイススケートをメジャースポーツへと押し上げ、さらに芸術の領域にまで昇華させた伝説の英国人スケーター、ジョン・カリー。彼はバレエのメソッドを取り入れた演技で、1976年インスブルック冬季五輪フィギュアスケート男子シングルの金メダルを獲得する。しかし、マスコミが真っ先に伝えたのは、表に出るはずのなかった彼のセクシュアリティだった。同性愛が公的にも差別されていた時代に、ゲイであることが公表されたメダリストの存在は、世界中を驚かせ論争を巻き起こす。しかし、彼は華麗な滑りで多くの人を魅了し続け、現在の日本人スケーターにも影響を与えている。
(公式サイトより)
https://www.uplink.co.jp/iceking/
☆☆☆☆★
冒頭の「一人で生き、一人で死ぬ」
に、ぎゅっと心掴まれた。
今まで、フィギュアスケートのTV中継で感じてきた
「ジャンプが決まるか否かだけでアップダウンする実況」
に対するイライラを、この映画で払拭できた。
(競技だから勝ち負けに一喜一憂するのは別に悪かないんだけどね
あー!とかうーとか叫んでるの聞くと、ちょっと!こっちが観てんだから最後まで黙って観させてよ!と言いたくなるの^_^)
「美しく滑りたかった」という子どもの願いは
母親が言う「リンクは避難所」だった子どものうちこそ、褒められたものの
青年期になると
優雅さはいらない
男のスケートをしろ
と、全否定。それは
ソリの合わない父との関係にも似て。
「イギリスには裏切られた気分」
という一言が象徴してる
…この言葉と、スクリーンに映るNYの
空の青さと雲の白さが裏腹過ぎて(T ^ T)
単身やってきたNYで
心の拠りどころとなる人たちを見つけて
シーズンを終えるたびに“帰る”のが
精神衛生上は良かったのだろうけど
そこが安住の地というわけでもなく。
どこへ行っても
拭いきれない孤独。
★★★★☆
映画は
彼の成し遂げたことを
淡々と見せてくれる
その一方で
何度も出てくる
《僕の魂には、才能と同じだけ悪魔が宿っている》
リンクにいる時の映像が
どれもこれも(幼い時のも、選手時代も、プロ時代も)なんつーか
圧倒的!
他に何を言っても、違う気がしてしまうくらい、圧倒的。
人によっては
「場を支配する力」と呼ぶかもしれない
その場にいる人たちすべてを、包み込んでしまう力。
…映像でこれなんだから
直に観たら一体どうなんだ?といふ
(もうなんか意味不明の域?)
実際、ロイヤルアルバートホールやMETでの公演は
狂ったような拍手(観てるとそう言いたくなる!)に迎えられる
その陰で「もう辞めてもいい?」と漏らす彼の涙は
喜びなのか、それとも…
彼のスケーティング映像を残すために
“ドラマ”部分は最小限に抑えられている
(劇映画版が進行中だそうで、そちらで描かれるのでしょうね)
表現という世界で生きる人に
天使だろうが悪魔だろうが
ある“ピュアさ”は必要で。
その純度が高ければ高いほど
その表現以外のところとのギャップに
人は、大なり小なり苦しむのかもしれない。
(この威厳。王の出で立ち♪)
ジョン・カリーの数字は
5-6-9
彼が、得られないものを求め続けたことが
彼の中の“ピュア”な部分を保ったのかもしれないね。
それも、数の仕合わせ。
★★★☆☆
《かずの葉の庭》主宰
|Φ|高橋 早苗プロフィール
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「氷上の王 ジョン・カリー」
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https://www.uplink.co.jp/iceking/
