誰かさんの間違いは わたしの正解 ー 「めぐり逢わせのお弁当」 | ​ 観るチカラを、生きる糧に。 ー SCREEN(私設)研究所

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観る映画が、あなたの、わたしの、人生のヒントになる。
ここは、SCREEN(私設)研究所。

潜在数秘術×映画で
「観る」ことと心の関係を
映画を通して読み解いていきます。

空っぽになって帰ってきた お弁当箱を見て 喜ぶ主婦は

携帯ばかり見ている旦那が気に入らない


お弁当どうだった?と聞いても

「カリフラワーがうまかった」なんて

テキトーなこと言ってる!

…???

誰か、違う人に届いたみたい?




階上に住む叔母に焚きつけられ

ナンの下に 手紙を忍ばせる

「お礼に」と 夫の好物が入ったお弁当は

早期退職間近のサージャンの元へ届く



「残さず食べてくれてありがとう

あれは夫に作ったお弁当です

空っぽのお弁当箱を見て

愛が 夫婦仲を良くすると 幸せな気持ちでした」




サージャンが 近くの食堂に頼んでる弁当は なぜか

イラと名乗る女性が 作ったものだった





お弁当に忍ばせる手紙で 心通わせてく二人

イラは 家庭に興味を持たない夫への不満をもらし

サージャンは 亡き妻との思い出を語る




やがてイラが 会おうと告げる

サージャンは 待ち合わせ場所に行ったものの

名乗らず 遠巻きにイラを眺め 帰った


我が身に 老いの匂いを感じ取ったサージャンは

「夢を見させてくれてありがとう」とだけ告げて 去る


間違えたお弁当も 届かなくなり

映画は イラの独白で終わります




☆☆☆☆★




物語として 落ち着くべきところに落ち着いて 終わるのが

観てるこっちはスッキリするのでしょうが

含みを持たせて 二人が乗り込む電車(選択)に任せるあたり

監督、やるな~ ニヤニヤしちゃうわ(´∀`*)

(イラが唯一話せる伯母さん、彼女が声だけで 姿を見せないのがまたいいの♪)



「人は 間違った電車に乗っても 正しい場所に着く」

とは サージャンの仕事を引き継いだシャイクの言葉




天涯孤独で

沢山たくさん、嘘も方便もハッタリも使ってきたのだろう若者の “母からの受け売り”




《間違った》というのは

実はとても 限定公開、なのですね


間違い(かもしれない)未来を

よしとするから 正しい場所へも辿り着く




彼女は 自分にとっての正解を探そうとする

それが 周囲から見た正解じゃないことも分かってる

その証拠に 行ってみればわかる、とも感じてる


二人の行く末は 描かれずに終わるけど

このラストを見ると 私はある映画が浮かびます



1987年公開「バグダッド・カフェ」^_^




ドイツからの旅行者ジャスミンは

ビザが切れて 一度は帰ることになるが

再びバグダッド・カフェを訪れる




ラスト、彼女の肖像画を描いた 画家コックスが ジャスミンに求愛します

「アメリカ市民と結婚すれば 永遠にここにいられる」と言って。




ジャスミンはひと言

「ブレンダに相談するわ」




★★★★☆




・・・ジャスミンは モハーヴェ砂漠で見た光に導かれ 居場所を見つけた

そこには 正解も間違いもなかったのです

ただ彼女を 次の新しい場所へ導く光があっただけ

・・・一方のイラには

相談する相手がいたかどうか 映画では 描かれないけれど

お弁当が 正しい(間違った)場所に着いて 二人は出逢った




誰かさんの間違いは わたしの正解

誰かさんの正解は わたしの不正解。かもしれない


お弁当のフタを開ける時の  ドキドキ感に似て

イラは 正しい場所に着くかもしれない電車を見つけてしまったのですね


どちらでも 彼女にとっての正解が待つ電車。





あなたは 正しいとみるのかしら

それとも、間違いとみるのかしら^_^




それも、数の仕合わせ。




★★★☆☆



《かずの葉の庭》主宰

|★|高橋 早苗Facebook