これ、舞台を書籍化したものなのですね。
コーヒーが冷めないうちに
川口俊和
「過去に戻れるって本当ですか？」
結婚を意識していた彼氏から
数時間後にアメリカ行きの便に乗ると
別れを切り出された「仕事が恋人」女
渡しそびれた手紙を手に
妻との記憶を無くしながら生きる夫と
看護師から束の間、夫婦の時間に戻る妻
会うことすら避けてるうちに逝った妹に
あやまる代わりに
帰ってくることを信じてた彼女の想いに応える姉
皆、会えなくなった大切な人に会おうと
「過去に戻れる」喫茶店にやってくる
コーヒーが冷めるまでの短い時間を目指して
お望み通り、過去に戻っても
彼女らはそれぞれに後悔するんだ
後悔して
大切な人の為に 言葉を探す
必死に探して 嘘すらつく
そうして 過去から未来（現在）へ帰ってきた時
戻った過去で 必死に紡いだ言葉が
自分自身への言葉になる
だから。
後悔って悪くない。
何かに気づき、前を向くのなら。
というか、この喫茶店を訪れた者たちは皆、
心底後悔したのだ。
だから必死になって言葉を探すんだ。
大切なひとに、自分自身に
心の底から後悔したこと それが
未来（現在）で言えなかった言葉を生み
大切なひとと自身の間をつないで
未来（現在）を つくったのだ。
誰にでも 大切な存在がいる
あなたも 誰かの未来から生まれてきたの
だから
後悔しよう。
「未来をつくれるって本当ですか？」
コーヒーが冷めないうちに
川口俊和
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