壮大な勘違い?ー「天才スピヴェット」 | ​ 観るチカラを、生きる糧に。 ー SCREEN(私設)研究所

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潜在数秘術×映画で
「観る」ことと心の関係を
映画を通して読み解いていきます。

10歳の科学者、T・S・スピヴェット
モンタナの田舎、大きな牧場が彼の家



のどかな毎日に見えるけど
家族はみんな、それぞれに傷ついている


それは、弟が死んだから。
T・Sは、自分のせいだと自分を責めている





「天才スピヴェット」L'extravagant voyage du jeune et prodigieux T.S. Spivet




僕があの日
弟と一緒にいたのに

僕が
代わりにいなくなればよかった



父の隣に座るのは
僕じゃなく弟だ

母が
昆虫しか見ていないのも

姉が
判ってもらえない女を演じることに
ハマっているのも…





弟のことを
誰ひとり話さない家族。
外から見れば
なんの問題もなさそうな
のどかな田舎暮らしに見えながら

T・Sは
ずっと居場所のなさを感じ
それを
どうすることもできないでいる





…もう、この家族がスゴい。
見事なまでに、全員バラバラなんですね。
父と母は、それぞれ自分の道まっしぐらだし 姉だってそう。


しかも家は牧場、お隣さんなんかないし
遊び相手はいつも弟だった


学校への行き帰りはバスで
寄り道するわけでもなく
先生にもほとんど理解してもらえない



10歳の子ども
好きな科学に没頭し
大人びるしかねぇじゃねーか。という
この状況。





||| 旅立ち?家出? 冒険! |||



ある日、一本の電話が。
スミソニアンから
ベアード賞受賞の知らせ
彼の発明が
認められた




一度は
受賞スピーチを断ったものの
スミソニアンこそ
僕の居場所と感じた彼は
旅立つ。


自分よりも大きなトランクに
荷物をつめて。





アメリカ西部モンタナから
ワシントン.D.Cまでの大陸横断は
1日3回しか通らない貨物列車を止めて
飛び乗ることから始まった




出がけに持ち出した
母の日記
ぎっしり詰まった
写真と絵と言葉は 母の愛

だけどあの日以来
言葉少なになっていく



ページをめくるのは
自分の道を生きようと踏み出した子ども でもなく
居場所を求める放浪者でもない



ただの
ホームシックの10歳。





||| あなたは 悪くない |||




途中、怪我もし、助けられ
たどり着いたスミソニアン

驚きと共に
歓迎されるスピヴェット
取材攻勢が始まり
そこへこっそり招待されていた母



何食わぬ顔で現れた母は言います
「あなたは悪くない
 誰のせいでもないの」


そして
もちろんカウボーイ姿(?)で現れた
父の背中に乗って帰る




弟が死んだのは
僕のせいじゃない
僕は
愛されていないわけじゃない




そう
子どもの想像力が
先走り過ぎたとも言える
微笑ましく壮大な勘違いw



…大陸横断までしないと
分からなかったんかい!
という感じですが(笑)





だから、面白いんですよね。
一番小さなコミュニティ、家族。

壮大なる家出
壮大なる勘違い。

冒険して
初めて気づくもの。





「天才スピヴェット」公式サイト





(勘違い。違うレールを自分で選んでしまうようなもの?)




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