疑いから始まるー「トランセンデンス TRANSCENDENCE」 | ​ 観るチカラを、生きる糧に。 ー SCREEN(私設)研究所

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観る映画が、あなたの、わたしの、人生のヒントになる。
ここは、SCREEN(私設)研究所。

潜在数秘術×映画で
「観る」ことと心の関係を
映画を通して読み解いていきます。





ウィルとエヴリン
ーふたりの科学者は
世界初の人工知能PINNを
研究開発し

コンピューターが
人間の能力を超えることができる世界
ー技術的特異点(シンギュラリティ)を目指していた




研究資金を得る為赴いた
講演会場で
反テクノロジーを唱える過激派テロ組織
RIFTの襲撃を受ける

同時テロで
各地の研究所もやられた  
ウィルは軽傷で済むが
受けた銃弾には
放射線ポロニウムが仕込まれていた
あと4~5週間の命




最期くらい
妻エヴリンのそばにいたい
研究はやめる

ウィルの意思を尊重し
人工知能 PINN は停止




一方で
サルの行動を記憶し
コンピュータへのアップロードに成功していた事実を掴んだ
ウィルの友人マックス


エヴリンとマックスは
ウィルを救うべく
死の際にあったウィルの意識を
停止したPINNにアップロードする


インストールはできたが
起動しない

諦め
最後のお別れをし
シャットダウン

ディスクを消去しようとした時
“彼”は起動した・・・




||| 人工知能+天才科学者 |||




人工知能としてよみがえったウィル


肉体と共に“なくなった”天才科学者の脳が
人工知能を得て
自己プログラミングを始める様は

赤ちゃんが
世界のすべてを取り込み
一瞬でハイハイから立ち上がり
歩き出すかのようだ



“彼”はエヴリンに告げる
『インターネットにつないでくれ』
これは、彼の意思?



これはウィルじゃない
と疑い制止するマックスの言葉も
もうエヴリンには届かない



PINN の一部が消えていると知ったRIFTの襲撃を辛くもかわし
“彼”はインターネットにつながった
ウィルの意識は世界中とつながり
思考が解放される



エヴリンが夢見た
~天才の知性をも越える 限界点 シンギュラリティを得て
 自我を持つコンピュータが 世界のあらゆる問題を解決する~
それが現実になった




“彼”は
すべてのコンピュータとつながり
テロ組織の末端まで割り出しFBIに情報提供


情報操作で資金を得て
土地を買い
荒れ果てた何もない砂の町に
大量のソーラーパネルを設置させ
巨大な地下施設をつくる

 
やがて
あらゆるものを復元させるナノテクノロジーを手に入れ
治らない病や怪我を負った人たちを
次々と回復させるが

彼らは自立しながらも
集団意識を持ち
“彼”とつながっている



その姿に恐怖を覚えたFBIは
RIFTをスケープゴートに
“彼”を抹殺しようとするが

もはや“彼”の意思は
大気を
水を伝い
拡散するようになっていた




||| 疑い+アクション |||




と、この後の展開やらオチについて
あれこれ意見が分かれるこの映画ですが



物語が次の展開を生む時は、いつも
<誰かがなにかに疑いを持つ時>なのですね。



もともと反テクノロジー組織RIFTはその名の通り テクノロジーを疑い

ウィルを失うことがわかったマックスとエヴリンは
サルの行動をアップロードにできるならウィルの意識も…と疑う

『インターネットに』つなげなんてウィルじゃない とPINN改めウィルを疑うマックス

彼女のデータでエヴリンを見ているウィルに腹を立て エヴリンは彼を疑い始める

“彼”に再会したジョセフは問う「自我を証明できるか?」
“彼”はウィルなのか?を疑っている

“彼”の姿に恐怖を覚えたFBI捜査官は 彼の行動を軍隊をつくっていると疑い抹殺計画を立て

ウィルスを自らの身体に仕込んで“彼”の元へ戻るエヴリン
自ら再生した肉体を持ったウィルは 彼女の言動を疑っている



こと近未来ものにおいては
「疑う気持ちがすべて」といってもいいくらい。

<13万年の昔から 理性の限界は変わっていない>と
ウィル自身が言ったように
理性からは外れたところで 物語は動くわけだ。



ネタバレ承知で言うと、
ウィルス仕込みのエヴリンは “彼”に自分をアップロードさせて彼の暴走を止めようとする
だが“彼”はなかなか彼女を受け入れない
そこをRIFTに襲撃され 彼女は重傷を負う

時間がない 彼女を救うか 彼女をアップロードするか
“彼”は彼女の傷に触れ 二人はつながり 共に肉体は死を迎える
そして“彼”は世界もろとも停止した



||| 自我を証明できるか? |||



この物語が面白いのは
自我を持った人工知能ウィルを
世界の脅威だ!と騒いでいたのは マジ周りだけだったんじゃないか?という疑いw


そして、科学者たちが度々口にする問い
自我を証明できるか?


これからの近未来ものは 3ヶ月天気予報みたいな(?)
映画の中で展開される未来世界と、現在とのタイムラグが小さいネタが題材になっていく気がしますね。
この映画が、いい例。



世界が止まる大停電のあと マックスがつぶやく

インターネットで世界は狭くなった
 今は ない方が狭く感じる




今や、ネットワークにつながらないパソコンなど「ただの箱」


まぁ、ウィルは本当に世界中のコンピュータとつながったのか?とか
全世界の慌てぶりが見えないぞ これ、アメリカ地方だけの話?とか
色々ツッコミどころはある作品ですが


これからの近未来ものは
未知のもの!
世界の脅威だぁ!
と敵視してブッ叩く!
だけのストーリーよりも

もう少しパーソナルな目線で観た世界が
展開されるように感じます。

そういう意味でもこの映画
新ジャンル?
新テイストな匂いを感じる♪



気になる方は「トランセンデンス」一度観てくださいね。
映画ソムリエール的には、DVDが出たらもう一度ゆっくり観たいなぁ♪





「トランセンデンス」公式サイト