絶望の中で希望をみるー 「いのちの林檎」 | ​ 観るチカラを、生きる糧に。 ー SCREEN(私設)研究所

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潜在数秘術×映画で
「観る」ことと心の関係を
映画を通して読み解いていきます。

「奇跡のリンゴ」
サダヲくんのなりきりっぷりを観てた感が強くて
楽しめたし、よかったけど
観れば観るほど
モデルの木村秋則さんご本人が気になって




この映画の予告編をみて
奇跡のリンゴで救われた人って?
あのリンゴ以外受け付けない身体って?
はてなマークがずらっと並んで
並んだけど予備知識はなしで
CS(化学物質過敏症)
についてなんにも知らずに観た。




シックハウスから重度のCS(化学物質過敏症)に
家の外を喫煙者が通る それだけでも
心臓が痛いと悲鳴をあげる
息ができないと
崩れ落ちそうになる
冒頭からいきなりそんな現実で




想像がつかない。
観てるんだけど、観てる景色の想像がつかない
・・・私が持ってるアレルギーなんて
アレルギーもどきだと考え直すくらい
鼻が垂れるとかくしゃみが止まらないとか舌が痛くなるとか
そんなの全然大したことないですよねスイマセン・・・
って謝りたくなるくらい





お母さんはまるで買い物にでも出かけるような感じで車を出すけど
高速乗って
え?家探しって
つまりは定住できる場所探しでしょ
てかほとんど逃げてるだけみたいな
逃げてるだけに見えちゃうくらいに
この現実は過酷だ





なのに
この映像には
この二人には
悲壮感がない
見えないと言った方がいいのかな




二人とも半袖で裸足で
お母さんもそうなんだよね
そこに気づいたら、なんかスゴく切なくなってしまった
実は 運転してる車だってキツいのでしょう?
撮影のカメラすら近づけない日がある
周りの空気を含めて
身体が触れるすべてのものが
ほとんど化学物質だらけっていうこの現実




自分が普段
界面活性剤っていらないでしょうと重曹洗濯したり
頭皮のかゆみが気になって石鹸シャンプー使ったり
顔にあれこれ塗りたくるのを疑問に思って化粧水を手作りしたり
(怪我をして、びわの葉を貼ってるところを観たときは
 「わっやっぱり効くんだ」と一人喜んだけど<びわエキス愛用者の私)



・・・するのとはまるで別次元だよね
生きてけないんだもんさー
標高千メートルのテント生活っても
うっすいビニール吊って
テントすら市販のものじゃ化学物質まみれなわけでしょ
そしてそこでも発作は起きるっていう




この身体に入れるものを
すべて手作りしているその生活は
何でも買いそろえるのより
ずっとずっと豊かに見えたけれど




観ているとどんどん自分が落ちていっちゃうっていう
だけど、スクリーンの中のお二人は落ちていない
テントのすぐそばに建てた家で
育てた小麦を見せながら話す彼女の嬉しそうな顔が




木村さんの林檎のように
希望を観ているんだな
こんな絶望的な世界にも
希望を観ているんだな




彼女がいつか
木村さんとお会いできたらいいな
きっと他人とのつながりを持てずにずっと
過ごしてきたのだろうから




そんな
最後は祈るような気持ちで
スクリーンを眺めた


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