その昔
お小遣いでファッション雑誌を買ってた頃
ウォーホルの
両手で顔を隠したポートレートとか
気に入ったページだけスクラップしたりなんて
可愛いことしてた頃だけど
スクラップこそしなかったが
覚えてるページがある
NYとパリ
あとロンドンとミラノだったかな・・・
世界の大都市のストリートファッションが
ページ一杯に散りばめられていて
そのNYのページだけ
妙に覚えてるんだよね
真夏のNY
街を歩く人達のスナップ
予告編を観た時
『タダで着飾った有名人に興味はありません』
・・・この言葉を聞いて
そのNYのページを思い出して
うわ、これ見逃せないわー
思った。
NYの街を
自転車で駆け回り
その目に留まったファッションを撮り続ける
ビル・カニンガム
『静かに
街が語りかけてくるのを待つんだ』
いつも同じ服を着て
雨の日は安物のポンチョ
カーネギーホールの上に住む
部屋にあるのは
これまでに撮り貯めたネガを納めた
キャビネットとベッドだけ
NYタイムズの日曜版
ON THE STREETは
彼の名物コラムだ
彼がカメラを向けるのは
ストリートばかりじゃない
もうひとつ
EVENING HOUR
という社交コラムを持つ
アップタウンからダウンタウンまで
すべての移動は自転車で
夜な夜な
パーティーに顔を出す
『すべて見なければレポートできない』
コレクション
街のリアルな自腹ファッション
そしてパーティー
コレクションを撮りに
パリへ飛んでも
陣取るのは
ランウェイの正面ではなく横
何処行っても
モデルやセレブの顔より
服!
なのね。
『私は働いていません、好きなことをするだけです
仕事ではないのです』
50年以上のキャリアを認められ、パリで勲章をもらった時のスピーチがこれ。
格好良い、とはこういうことかな、と思う。カッコイイ、なんて言葉、軽すぎると思うくらいに。
なにしろ服と人にしか興味ないし
自分用のキッチン、バス、トイレを人生から排除してますからね
そんなものあったら掃除しなきゃならないって・・・
はい、ごもっともです。
カメラを持つ前は帽子屋さんだったようだけど、自分が着るのはいつも
パリの街の清掃員が着る青い上っ張り
食事はいつも街のカフェで
安ければ安いほど良いという
パーティーは食事を済ませてから出掛け、水一杯口にしない
もー、求めてるものが全然違う。
まぁ、食べる暇があったら撮りたい、という気持ちはわかる気がしますが
ストイックだけどギスギスしてる訳じゃなく
大好きなものに真摯、というのかな
だから他のものはすべて最低限でよしとする
インタビューで、日曜日の教会通いを問われた時
沈黙の後に見せた顔は涙に濡れていた
きっと、カメラを手にできない日もあった筈なんだよね
実際、映画の中では部屋の退去を求められていて
代わりに提示されたのはセントラルパークを望む部屋
大抵の人がテンション上がりそうな眺望なのに、下見に行った時の
なんとも不安そうな彼の顔ったら!
(後程、無事にキッチンは撤去されたらしく(^_^)v)
・・・やっぱりストイックだなぁ
『写真家じゃない
名乗ったら詐欺だと言われるよ
ただ見たものを撮り記録しているだけだ』
ね。
『ファッションは鎧なんだ
日々を生き抜くための』
・・・今日も、彼は彼の鎧を被って
カメラ片手にどこかの通りで静かに待っている。
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---------☆好きなシーン
タイムズ誌スタッフ達のサプライズ
皆青い上っ張りを着て
ビルの笑顔を引き伸ばした写真を被ってハッピーバースデー!!
おまけに彼の仕事っぷりを唄う歌まで飛び出し。
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