清澄白河で降りて、歩く。
陽射しが暖かい。
田舎と似た商店街の町並みにホッとする。
東京都現代美術館。
二つの企画展。まず
「Berlin 2000-2011 ゼロ年代のベルリン」
いきなりの
観客も役者もいないステージ?と舞台裏に流れる打ち合わせみたいな映像。
《再会のための予行練習》 フジ・リユナイテッド(サイモン・フジワラ&カン・フジワラ)
“畳”に、痛さを感じるね。
そして“打ち合わせ”は見れば見るほど可笑しさを誘う・・・と見たのはアタシだけ?
《スタイルの意味》 フィル・コリンズ
私には、蝶々はやっぱりグロテスクの域だっ。
《信用に足る者》 ヘギュ・ヤン
個人情報保護シートを使った作品。綺麗で見とれた。
《入り交じる行為》アンリ・サラ
・・・映像作品が多くて、暗いトコに入っては出てを繰り返したけど、ここが一番暗かったな。
一見、ハッピーに見える聞こえる画と音が
何をきっかけか、急に恐怖にも見てとれるから不思議で。
《ネオンオレンジ色の牛》 マティアス・ヴェルムカ&ミーシャ・ラインカウフ
色んなトコ“ブランコ”!
公園のブランコってあんま好きじゃないけど
これは乗りたい!
ベルリンタワーをバックにブランコ漕いでるの見て
「そうそう、このタワーを昔映画か何かで見て、こども心に『ベルリンってカッコええ~』と思ったんだよね」
と思い出した。
何の映画かは思い出せなかったけど。
続いて
東京アートミーティング第2回[SANAA・MOT共同企画]
「建築、アートがつくりだす新しい環境 これからの“感じ”」
《ロレックス・ラーニングセンター》 妹島和世+西沢立衛 / SANAA
図書館。いえ多目的ホール、オフィス、カフェ、レストラン、多種多様なプログラムを持つ、スイス連邦工科大学ローザンヌ校キャンパス内に作られた学習センター。
しかしワンフロア。
こんなとこ利用できる学生やその地域の人たちって、幸せ過ぎる!
・・・近くにこんな図書館あったら、休日一日過ごすだろうな、私は。
《エイト・スプルース・ストリート》 フランク・O・ゲーリー
カーテンウォール!
「スケッチ・オブ・フランク・ゲーリー」でも興味深く眺めたが
ほんと、どこまでも曲線なのねこのお方は。
こんなトコ住めたら毎日楽しいだろうな~
夜は色んな光を反射しそうな気がするけど、どんな景色になるんだろ?
《Cloud Island》 フィオナ・タン
瀬戸内海・犬島、豊島のいまを追っかけたフィルムは
島の人たちの姿がそのまま映し出されていて
かつての繁栄の姿だったり
いまをいきるひとたちの姿だったり
・・・御多分にもれず、映っているのはおじいちゃんおばあちゃん達ばかりで、勝手に切なさなんか感じてしまうけど力強さもあって。
なんだか目が離せなくて、なかなか立ち去れなかった。
《House NA》 藤本壮介
1Fの駐車スペース&玄関(?)からはじまって、いわゆる廊下がなく、中2階が延々続いているような不思議な構成。だけど中2階と呼ぶほど単純な構成ではなく。
よく年を取ったら階段昇るのがつらいとか聞くけど、そういう1Fから2Fへと“続く”階段ではなくて、すごく短いステップで別の部屋(?)へ行けるからあんまりストレスがなさそうに見えた。
上階に洗濯機とかがあってベランダがあるのがいいな~。
こんな家住みた~い!(つか、一度本物見たい)
アタシだったら、屋上は自給の為の家庭菜園にするな。
《もし建築が話せたら…》ヴィム・ヴェンダース
入り口に邦訳ナレーション(2種類)が置いてあって、興味津々で暗闇へ。
先に見た“ワンフロア図書館”を舞台にしたインスタレーション。
奇しくも3Dデビューだ。
軽いヤツだったんでメガネonメガネもイラつかずに済んだ。
飛び出す良さは全くわからなかったけど(笑)
気が済むまで居て、繰り返し眺めたけど、
この“ワンフロア”が受け入れられるのって
やっぱり日本じゃないよな~って思う。
すべてが繋がっているから友人とはぐれる心配はありませんよと言われても
日本人じゃすぐにはぐれて
すぐに携帯で連絡取り合って、かえってうるさそうな気がする(笑)
ナレーションは2種類あって、
ひとつはこう始まった
『私の声がきこえますか?
場所には声があります。
いまあなたが聞いているように、建築は話をするのです。
すべての建築ではないけれど。』
いかにもヴェンダースらしいと感じたけど
ココ(MOT)もそうだよね、と思った。
好きな場所って、みんなそう。
声が聞こえる、とまではいわないけど、
ある種の主張があって
それが居心地良いものなら何度でもまた来たくなる。
私は未来に目を向けています。
待ち遠しくて、早く見たくてたまりません。
私は過去の遺産を利用した建築ではありません。
むしろ過去を刷新するものです。
間違っても懐古的な建築などではなく。
もちろん未来を掴んでいるわけでもないけれど。
私の存在のかたちは、継続的な現前です。
それが私の仕事で、
そのためにここにいるのです。
それでも、私は未来を夢見ています。
未来こそが私の居場所だと感じます。
そんな印象が、
少しでもあなたに伝わっていますように。
(ヴィム・ヴェンダース《もしも建築が話せたら…》より抜粋)
MOT