心の奥の方でいつも、思っていた。
そのこと自体は良くない、あってはならないことだけど、
形はどうあれ問題がそうして表面に出てきたことに
・・・どこか、羨む気持ちを隠せずにいた。
家族というかたまりは、それほど外界から隔離された、
見えないものだから。
「毒になる親」・・・なんともキツいタイトル。
子供時代に親から受けた傷をそのままに成長し、
どこかしら「生きづらさ」を抱えたままの大人へ、この本は、
親の“害になる”言動
何故そんな行動をとるのか
そして
親との“対決”方法
を教えてくれる。
対決とはなんだか、ずいぶん勇ましいけれど、
そこに至るまでの過程は結構キツい。
子供は、親から受けた傷と正面から向き合わなければならない。
自分が親との関係の中でとってしまう行動パターン
親との間でどんな感情を持ち
それはどんな考えからきているか
幼い頃に無意識に植え付けられた、親の(有害な)考え方を見つめ、
それに影響され自分本来のエネルギーを奪ってきた
有害な「考え方」と
自滅的な「行動」
を変える・・・そして、
自己を守るために相手を攻撃しない「対応」
・・・相手に対して自分をはっきりさせること
を練習する。
「自分をはっきりさせる」=自分に誠実になる作業は、
想像以上に大変だ。
子供時代の傷がずっと今でも赤く腫れ上がりズキズキ痛む・・・時間が経っても
癒えるどころか大きく広がっている苦しさを、見つめなくてはいけないなんて、
どう考えても楽しい作業ではない。
この中で挙げられている親のタイプは7つだが、著者が通読を勧めるとおり、自分が
すべてのタイプの“害になる”言動を
(肉体的・性的暴力こそないけれど)
すべて受け取っていること
に気づいた時は、あまりの「毒の強さ」加減に固まってしまった。
親のタイプは違っても、受ける傷は似ているのだということがよくわかる。
だけど、この著者は
「毒になる親」を許す必要はない
ときっぱり言いきる。
この一言には、救われたような気がした。
“許さなくてもいい”
それだけで、気が楽になった。
傷を見つめる勇気をもらえたように思う。
許さなくてもいいという一方で、大人であるなら、
誰かに傷つけられた時に
自分を癒すのは自分の責任
と一線を引く。
なす術のなかった子供時代のことは親の責任としても、
大人になっても繰り返している「自滅的な行動」を改めるのは、
誰でもない自分の責任。
自分のペースで
「怒り」を管理し
「悲しみ」を十分に感じ、嘆き、
子供時代の不幸(傷)は親の責任としっかり認識して、
いま大人である自分が持つ「責任」を自覚する
この準備が出来たら「対決」の時だ。
怒りや嘆きにまかせてやっつけるのではなく、
あなたが私にしたこと
その時の私の気持ち
そのことが私の人生に与えた影響
現在のあなたに望むこと
この4つを伝える作業。
「対決」は、直接会って話すのが基本だが、
手紙やロールプレイ(信頼できる友人やカウンセラーを相手にして話す)
の方法も紹介されている。
「対決」は何よりも自分のため。
責任を持って自分の人生を生きるために、
真に独立するための儀式みたいだ。
冷静に話し合えたところで、親が劇的に変わるわけじゃない。
変わるのは自分の方。
毒になる親のおかげで、
大人になってもまだ
生きていくことの価値を見いだせない自分
・・・親の、害ある行動パターンに
無意識のうちにコントロールされている自分を、解放すること・・・
ちなみに、私の場合は手紙の方法をとりました。
母はもう亡く、父はすでに耳が遠く“静かに話ができる”状態じゃないので。
手紙はこれからも繰り返し書く予定。
(・・・すでに心理的治療を受けている方、肉体的・性的虐待を受けたこと
がある方は、この本をひとりで利用せず、信頼できる専門家、
カウンセラーやセラピストさんを見つけてください。
アルコールなど何かしらの依存症をお持ちの方は、
まず治療を先になさってください。
↑上記に当てはまらない方でも、
ココに書いてあること「だけを」鵜呑みにはしないでください。
あなたと私の傷はたぶん似ているけれど、違うものです。
これらの方法を取り入れることは、実際に本をお読みになってから、
ご自分の意志で決めてください。)
「毒になる親」を許す必要はない
・・・この一言は、この本を読もうと思うきっかけになった。
許さなければと思い
一時は許した気になって
いまだ許していないことに気づき自己嫌悪している人
にはこの本は参考になると思う。
そして親になった人にも。
子育ては大抵、自分が受けたやり方を受け継ぐもので、
自分が子供にしたのと同じことを、
親もまた子供時代にされていた
という“毒の連鎖”があることを
この本は伝えている。
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私は、いつの日か自分の家が幸せな家庭になってくれたら
という幻想を今ここに捨てる。
私は、もし親がああではなかったら、もしこうだったなら
という希望や願望をいまここに捨てる。
私は子供の時に親を変えるため何かできたのではないか
という幻想をいまここに捨てる。
私は愛情ある素晴しい親を持つことは永久にない
ということをいまここにはっきりと自覚する。
私はそのような親を持てなかったことを深く悲しむ。
だが私は、この現実をそのまま受け入れる。
そして私は、すべての幻想には永遠に
そして心静かに別れを告げる。
