ルーツを辿る亡命ー「愛より強い旅 Exile」 | ​ 観るチカラを、生きる糧に。 ー SCREEN(私設)研究所

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観る映画が、あなたの、わたしの、人生のヒントになる。
ここは、SCREEN(私設)研究所。

潜在数秘術×映画で
「観る」ことと心の関係を
映画を通して読み解いていきます。





島国で生まれ育った私には
わからないことがある。

移民。

一生わからないだろう。
親は昔、遠い国からここへ、やってきただなんて。
ザノとナイマはそんな二人。





・・・パリの街を見下ろす部屋で
 「アルジェリアへ行こう」
と言い出すザノ

ナイマは笑いだし、そして聞く
 「音楽はどうするの?」

 「やめる」
どこの壁だろうか
レンガを外し
穴を掘って
バイオリンを入れて
コンクリを流し
またレンガをはめてく。



まるでバイオリンのお墓。


両親を事故でなくしてから、
弾くこともなかったバイオリン。




スペインへ向かう無賃乗車の窓の外は
田舎の風景・・・を見ているかいないのか、
ヘッドフォンはテクノの爆音

途中出会うのは
二人と逆にパリを目指すひと達。
 「名前は?」の次に
 「宗教は?」
とくるのは土地柄か
いや“大陸”というやつか。





歩けば雨に降られ
野宿すれば靴を盗られる。

フラメンコ
浮気
喧嘩
・・・バイトをしてやっと乗り込んだ船は
モロッコ行きだった・・・

もちろん、ひき返すなど出来ず
陸路“国境越え”を目指す。



やっとたどり着いたアルジェは、
旅の間に起きた大地震の爪痕が
まだ生々しく残っていた。


首都を目指す二人を
阻むような人の流れ。



こうして
この土地を出て行った
自分のルーツ・・・





ザノは懐かしい我が家を見つけ
今の持ち主にも暖かく迎えられる。
写真を見せられ涙するザノ。

一方、ナイマは
故郷に居心地の悪さを感じていた

懐かしさよりも
自分がよそ者だという疎外感
・・・土地の者はそれをちゃんと見抜いていた。




「リラ」と呼ばれる、土地の音楽に身をゆだねて精神を癒やすという儀式。
止まない音を声を浴びながら
二人は連れ出されていく。

そこは出口か、入り口か・・・




☆☆☆☆★



「モンド」を観た時
尺八みたいな笛の音が聞こえて
懐かしいような 不思議な気分になったものだが
同じ音が聞けて謎がとけた。





あっちの人って
なんで皆靴にお金を隠すのかな?
それで靴脱いで野っ原に寝てるし
そりゃあ盗られるさ(笑)





映画の原題は「EXILS(亡命)」



ルーツを辿るのは
自分を取り戻す精神的“亡命”なのか・・・



旅する二人が、不思議と
街ですれ違う若者の姿とだぶる。

片時もヘッドフォンを離さないところ・・・
あれをみてると
日本人て精神的に放浪してるのかも?
って思う。こだわりがないというか・・・




違うのは
土地の音楽があそこまで強くない
ということか。


いやあるとこにはあるんだろうけど
祭りは皆 観光地の出し物みたいになってるでしょ。

どこの家にもテレビがあって
全国民が“我が身に直接関係のない”同じニュースを
大事に見てたりするしさ。




・・・旅の始めは
パリっ子らしく(?)いっぱい重ね着して
バックをいくつも斜めがけしてる二人が、



旅が進むにつれ
どんどん身軽になっていくのが
なんだかうらやましくみえた。

どんどんいい顔にもなっていったし。




片時もヘッドフォンを離さない二人は
行く先々の土地の音楽も浴びるように聴く。

その先に故郷があって、
そこに根づいてる音も浴びて・・・



それもなんだかうらやましいよ。





そういうアタシ 間違いなく日本人(笑)
久しぶりに
ヘッドフォンつけて街をあるいてみようか?







-------
ネットもないサッカーゴールがある
野原みたいなトコで野宿するシーンが好き。

「Un,Dos,Tres Nada Mas」
聴きながらナイマが踊り狂う



で、目が覚めたら
ザノの所持金は
ブーツごと盗られちゃってんだよね(笑)



愛より強い旅 サウンド・トラック
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プランクトン 2005-11-20