人間になった“天使”は
天使でいた時のことを忘れない。
「時」が、人間のそれとは違う。らしい。
“壁”が消えたベルリンの街を見つめるカシエルの耳に
歌が聞こえる。
人間に恋をし「死んで」人間になった友の歌声。
いつしか自分も向こうへ行きたいと望んでいた彼は
ベランダから落ちた子供をつかまえた拍子に「人間に」なった。
自分の声を聞き
雨の冷たさを覚え
友に会い
オリーブの味を知る。
人間になったらやろうと思っていたことをやる。
だけど彼のそばにはいつも悪魔がいて・・・
まるで転げ落ちるかのようだ
人間の言葉でなら「間が悪い」とでも言おうか・・・
ことごとく“うまくやれない”カシエルを“知っていた”人間がいた。
見えない存在を信じる人。
頼まれて、年老い薄れた記憶の代わりに話す彼は
天使の顔。
・・・結局、人間の持つ時の流れに入り込んでそのまま、どこへ留まるでもなくいってしまった・・・
前作を知らずに観たら
本当に訳が分からず切なく悲しく
観ていられないだろう。対極。
だけど、そうなんだ、人の背中に翼なんか生えちゃいないし、目に見えるものがすべてな人達の「歴史」なんて、本当“見ていられない”くらい酷いもの。
・・・死を覚悟したカシエルはつぶやく
「もっと人間でいたかった」
そう、その後悔すら
「目に見えるものがすべて」
の世界でこそ、なんだよ。
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