このDVDはグレイシー一族のドキュメンタリーであるが、凄い作品。
これまでに観たことある映像ばかりでは・・という想像もしていたが、もちろん木村・エリオ戦などお馴染みのものも網羅しつつ、あまり公開されていなかったであろうシーンも満載である。
「GRACIE IN ACTION」も名作ではあるが、ヘンゾが製作に関わっている本作品は「ホリオン史観」に則ったものでなく、カーウソン・ホーウスらの映像も多く収録されている。
また、カーロスとエリオ、ホリオンとヒクソンらの間の確執についても言及。
収録映像で特に驚かされたのが、早世したホーウスのレスリング試合や、ヒクソンとのスパーリング風景など。
ホーウスの袖釣り込み腰で投げられたあと、寝技で食い下がっていく若きヒクソンの姿は衝撃的ですらある。
そしてホーウスの投げからは、前田光世も寝技への連携を考えて袖釣り込み腰を多用していた、というエピソートを想起させられた。
彼もまた早世してしまったが、ハイアンによる家の庭でのヴァーリトゥード映像も必見である。
現代のMMAが大いにかけ離れてしまった、闘いのシーンがそこにある。
グレイシー柔術がブラジリアン柔術に、ヴァーリトゥードがMMAに変貌した現代。
どちらがよいというわけではない。
が、この作品は一つのアンチテーゼとして、少なくとも全てのブラジリアン柔術家に観て欲しいと思わせる一本であった。(敬称略)
見開きジャケット内には、グレイシー一族の系図が。
いつ見ても壮観である。
※2013年5月15日発表。
今でも入手可能なのか、はたまたインターネットに上がっているのかわかりませんが、とにかく興味深い一本です。