先日、角川書店より「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」の著者・増田俊也氏の新刊「七帝柔道記」が発売された。
BABジャパン「秘伝」の連載小説、待望の単行本化。
本作は、増田氏の北海道大学柔道部での経験をほぼそのまま小説化し、登場人物も一部を除いては実名であり、極めてノンフィクションに近いもの。
当時の北大柔道部や七帝柔道の雰囲気がリアルに描かれている。
そして特に、井上靖氏が自伝的小説「北の海」において表現した「練習量が全てを決定する柔道」高専柔道の流れを汲んだ、過酷なまでの寝技練習の模様が凄みを持って伝わってくる。
「町道場」ではなかなか味わえない「部活」ならではの情熱がひしひしと伝わってくるが、「強くなる」ための方法論として、環境に関わらず確実に存在するものだと思う。
筆者としては、七帝の中で当時「超弩級」と言われていた紫藤選手や道崎選手たち東京大学の選手名が頻繁に登場していたことが懐かしかった。
母校と東大との定期試合や合同稽古において何度か胸をお借りした経験から、本作で描かれている強さはリアルであることを証言したいところである。
日本中の柔道家だけでなく、ブラジリアン柔術家にも推薦したい本作品。
最終的には中井祐樹選手が登場するはずの「七帝柔道記」続編は「秘伝」にて連載継続中である。
全編を通しての単行本化に期待しなければならない。
角川書店から待望の単行本化「七帝柔道記」
「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」に続く、
増田俊也氏の力作!
※2013年4月18日発表。
ちょうど10年を経て「七帝柔道紀」また読みたいと思っていたところです。