『ウメップ』

小さな出版社で働く友人が担当している
ある写真家の展覧会へ行ってきました。
写真家の名前は梅佳代さん。
日常の中にある、おかしなものを撮る写真家として有名ですね。
私は梅佳代さんの潔さが好きです。
適当なカメラで、適当に写し、普通に現像する。
私などカメラを買う時点で、頭の中がグルグルとこんがらがって、
10年以上欲しいと思い続けている一眼レフカメラを購入できないでいます。
楽しい写真を楽しみに笑うつもりで出かけたのに、
会場に入ると心がザワザワして泣きそうになりました。
私の友人は、とても厳しいと定評のあるデザイン学校で、
働きながら空間デザインの勉強をしていました。
写真も好きで、以前は写真展などもよくやっていました。
友人の写真はフォーカスの曖昧なものが多く、とても幻想的で、
夢の中へ連れて行ってくれるようでした。
7年前のクリスマスに友人から送られてきた、旅先のパリを写したカードは、
もらった日からずっと、台所の良く見えるところに飾っています。
写真のはじっこに“Joyeux Noel”とプリントされていて、
Noelのeの上にはスワロフスキーが2粒、ちょこんと付けてあります。
私の心がざわついたのは、これはあくまでも梅佳代さんの写真展だけど、
友人の展覧会でもあると感じたからかもしれません。
大きなパネル写真のなかで、1枚だけ梅佳代さんらしくないものがありました。
二枚目な好青年の顔写真です。
ハート型のスポットライトが当たっていました。
売店で売られているシールにも同じ青年の写真があって、
ハート型に切り取られるようになっていました。
友人に聞いてみると、梅佳代さんの好きな人なのだそうです。
角川文庫の太宰治生誕100周年の新装カバーの10冊が並んでいました。
タイトルと梅佳代さんの写真がとてもマッチしていてしばらく眺めていました。
太宰治生誕100周年フェア

1冊「ヴィヨンの妻」を買いました。
花嫁さんは、梅佳代さんの島根に住むお友達だそうです。
新しい写真集も買って、梅佳代さんにサインをしてもらいました。

このサインには驚かされました。
サインをする梅佳代さんがとてもおかしくて。
梅佳代さんと友人は、ずっと寝る暇もなく、
「もう肌がボロボロで好きな人には会いたくない」と言っていたけど、
私には、そんな二人がツヤツヤに輝いて見えました。
■梅佳代写真展「ウメップ」
シャッターチャンス祭り in うめかよひるず
2010年8月7日(土)~22日(日) 11:00~21:00 ※日曜は20:00まで
場所:表参道ヒルズ スペース オー(本館B3F)
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