2001年9月11日
アメリカ同時多発テロ事件で1機目が突撃後、救助の為、最初にツインタワー内に突入した数百人のレスキュー隊の内の一人で、今も行方不明中の消防士が生前に記したものを、アメリカのサンディエゴ在住の日本人佐川睦さんという方が翻訳した詩です




最後だとわかっていたなら

あなたが
眠りにつくのを
見るのが最後だと
わかっていたなら
わたしはもっとちゃんと
カバーをかけて
神様にその魂を
守ってくださるように
祈っただろう


あなたがドアを
出ていくのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしはあなたを
抱きしめてキスをして
またもう一度呼び寄せて
抱きしめただろう


あなたが喜びに満ちた
声をあげるのを聞くのが
最後だとわかっていたら
わたしはその一部始終を
ビデオにとって
毎日繰り返し見ただろう


確かにいつも
明日はやってくる
見過ごしたことも
取り返せる

やり間違えた事も
やり直す機会が
いつも与えられている

「あなたを愛している」
と言うことは
いつだってできるし
「何か手伝おうか?」
と声をかけることも
いつだってできる


でももしそれが
わたしの勘違いで
今日で全てが
終わるとしたら
わたしは今日どんなに
あなたを愛しているか
伝えたい


そして私達は
忘れないようにしたい

若い人にも年老いた人にも
明日は誰にも
約束されていないのだと
言うことを


愛する人を抱きしめるのは
今日が最後になるかも
しれないことを

明日が来るのを
待っているなら
今日でもいいはず

もし明日がこないとしたら
あなたは今日を
後悔するだろうから


微笑みや抱擁や
キスをするための
ほんのちょっとの時間を
どうして惜しんだのかと

忙しさを理由に
その人の最後の願いと
なってしまったことを
どうして
してあげられなかったのかと

だから今日あなたの
大切な人たちを
しっかりと抱きしめよう

そしてその人を
愛していることを
いつでもいつまでも
大切な存在だと言うことを
そっと伝えよう


「ごめんね」や
「許してね」や
「ありがとう」や
「気にしないで」を
伝える時を待とう

そうすれば
もし明日が来ないとしても
あなたは今日を
後悔しないだろうから