子どもたちの生活と夢【ドイツ国際平和村】 | PARACUPのブログ

子どもたちの生活と夢【ドイツ国際平和村】

こんにちは。PARACUP2019大会にて共催団体となっているドイツ国際平和村です。

ドイツ国際平和村は、「紛争地域・危機的状況にある地域に暮らし、母国での治療が困難なケガや病気を抱えた子どもたちに、ドイツにおける医療を提供する活動」「子どもたちの母国の医療状況を改善するためのプロジェクト活動」「平和への関心を高めるための平和教育活動」という3つの活動に取り組んでいるドイツの人道援助団体です。

PARACUP2019大会を通してお預かりする寄付金は、主に、ドイツにおける子どもたちへの医療援助活動に充てさせていただく予定です。そこで今回の記事では、ケガや病気を抱え治療のためにドイツへやってきた子どもたちのことについて、皆さまからよくお寄せいただくご質問にお答えするかたちでお伝えしていきたいと思います。

<どんな子どもたちがドイツへやってくるの?>
子どもたちの抱えているケガや病気は様々ですが、多くの子どもたちが「骨髄炎」の治療ためにドイツへとやってきます。この「骨髄炎」は、例えば、外傷への適切な治療が行われなかったために外界から細菌が骨髄にまで入ってしまい、そこから骨が腐っていってしまう病気です。「骨髄炎」は先進国でも発症しますが、抗生物質を服用することで、悪化せずにすみます。衛生環境の整った状態で、適切な治療が行われていれば防ぐことができる「骨髄炎」ですが、治療が遅れると、身体の他の箇所でも発症してしまい、命に関わることもあります。その他には、家庭内での事故による火傷、重度の口唇口蓋裂症や内反足といった先天性の形成異常や内臓疾患を抱えている子どもたちもいます。

<どんな国の子どもたちがやってくるの?>
現在は主に、アンゴラ、ガンビア、アフガニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギス、アルメニア、ジョージアといった国々の子どもたちが、年間300人前後、治療のために渡独しています。

<子どもたちの治療はどこで行われるの?>
ドイツ国際平和村の活動に協力してくださっている協力病院がドイツ各地にあり、子どもたちの手術や治療は、それら協力病院にて基本的には無償で行っていただいています。

<ドイツ滞在中、子どもたちはどこで生活しているの?>
渡独後の入院までの期間、複数回の入院治療の間の期間、入院治療後の帰国までの期間については、子どもたちはオーバーハウゼン市にあるドイツ国際平和村の施設にて、傷口の処置を受けたり、リハビリをしながら、様々な国からやってきた他の子どもたちと共同生活を送っています。
 
ドイツ国際平和村施設

<コミュニケーションの際の言語はどうしているの?>
ドイツ国際平和村の施設では、常時150~200人の子どもたちが生活しており、その子どもたちの母語は様々です。そこで、スタッフは子どもたちとドイツ語で話します。子どもたちはドイツ語が全く分からない状態でドイツへやってきますが、ドイツ国際平和村施設での共同生活や病院での入院生活の中で、他の子どもたちやスタッフ、ボランティアとの会話を通して徐々にドイツ語を覚えていきます。

<子どもたちのドイツ滞在期間はどのくらい?>
ケガや病気の治療が終わった子どもたちは、家族の待つ母国へと必ず帰国します。平均的なドイツ滞在期間は6か月から1年程度ですが、複数回の手術が必要な場合など治療が長期にわたる場合には、滞在が数年間に及ぶこともあります。

<ドイツ国際平和村施設滞在中、子どもたちは何をして過ごしているの?>
子どもたちにとって何よりも大切なことは、一日も早くケガや病気が良くなって、母国の家族の元へ帰れることです。そのため、ドイツ国際平和村施設滞在中もしっかりと栄養を摂り、治療に備えて体力をつけなくてはなりません。また、治療前・治療中の傷口の処置や治療後のリハビリも大切です。そこで、ドイツ国際平和村施設での生活は、食事と傷口の処置・リハビリが中心となりますが、それ以外の時間については、運動場でサッカーをしたり、ダンスをしたり、ミサンガを作ったり、ビー玉で遊んだり、あやとりをしたり、お互いの髪を編んだりと、子どもたちは思い思いに遊んでいます。
 

<ドイツ滞在中、子どもたちは学校に行けるの?>
子どもたちは、ケガや病気の治療のためにドイツに滞在していますので、ドイツの学校へ行くことはありません。ドイツ国際平和村の施設内にも学校はありませんが、「学びの場」が設けられており、そこでは、「子どもたちが楽しめる」だけでなく、「子どもたちが母国へ帰った際に役立つ知識や技能を身に着ける」ということも考えたアクティビティが行われています。例えば、学びの場のキッチンを使って子どもたちがそれぞれの母国の料理を作ることもありますが、その際には、異国の文化や生活習慣に触れるとともに、衛生についても学びます。この学びの場に行けることを、子どもたちはいつもとても楽しみにしていますが、この学びの場での活動にはボランティアの協力が欠かせません。ボランティアの方々が定期的にドイツ国際平和村施設を訪れ、裁縫や木工、算数など、それぞれが得意なことを生かして、子どもたちのためのプログラムを提供してくださっています。
 

<子どもたちはどんな夢や願いをもっているの?>
「ドイツ語を覚えたから、これから英語も勉強して、将来は通訳になりたい。」「色々な国に行ってみたいから、将来はパイロットになりたい。」「お医者さんにケガを治してもらった。自分も将来はお医者さんになって、他の人を助けたい。」など、子どもたちの将来の夢は様々です。「お父さんの仕事を継いで大工さんになりたい。」「家に帰ったらお母さんのお手伝いをたくさんしたい。」と答えた子どもたちもいました。
今回、学びの場にきていたアフガニスタン出身のルキアちゃんとバハグルちゃんにも尋ねてみたところ、その答えは「学校に行きたい。」でした。「学校に行ってどうしたいの?」とさらに尋ねると、「字が書けるようになりたい。」とのこと。
 
アフガニスタン出身のバハグルちゃん

「学校へ行けること」「字が書けること」それは日本やドイツに暮らしていると当たり前のことかもしれません。しかし、子どもたちの母国では、特にケガや病気を抱えた子どもたちにとっては、それは当たり前ではなかったことでしょう。通訳やパイロット、医師といった将来の夢を語ってくれた子どもたち。彼らがその夢をかなえられるかどうかはわかりませんが、ドイツで治療を受け、そのケガや病気が良くなることで帰国後に学校に行けるようになるとしたら、その夢に向かう一歩目を踏み出すことができるはずです。

PARACUP2019大会への参加を通して、多くの皆さまに子どもたちの夢への一歩を応援していただけましたら何よりです。

ドイツ国際平和村 活動紹介映像:https://vimeo.com/139849875
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