こっちの川は全くの自然。大雨が降り増水すれば、川縁の浸食が進み場合によっては川の進路が変わる。


 サンペドロ・マサウアットの海に面したコミュニティ。ちょうど河口付近で川の進路が変わったために、将来的にコミュニティに悪影響が出ることがわかった。どこに重機を入れてどういう風に川の進路を人工的に変え、コミュニティに悪影響が出ないようにするのか。それを知るために私が働く市役所は現地の視察を行った。もちろん私も同行した。

 視察のメンバーは市議、市役所職員、地域コミュニティの人2人、私の総勢5人。炎天下の中、海辺の道を現場までひたすら歩く。しかし現場に着く前に、川に行く手を阻まれた。視察の現場は川の向こう。川は茶色で川底は全く見えない。「よし、渡ろう」と市議のおじさん(50歳くらい)が言う。みんな靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、ズボンを脱いだ。市議のおじさんはもはやパンツにポロシャツに帽子にサングラスというよく分からない格好になっている。

 意外に早い川の流れに一同足を取られそうになりながら、ズボズボと川を渡っていく。そしてどんどん深くなっていく。最終的にはパンツびちゃびちゃ、ポロシャツびちゃびちゃ。それでもおかまいなしに視察現場に到着すると、5人のパンツ一丁、ポロシャツびちゃびちゃ、帽子にサングラスのおじさんたちが腕組みをし、真剣な顔をしながら話し合う。

 帰り道、そのびちゃびちゃ具合に誰もがあきらめ、海に飛び込んだ。