仮想棚企画 | Papytat~東京農工大学生協読書部~

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東京農工大学生協読書部の活動をプロパガンダするブログです

皆様初めまして。こちらに書くのは初めてとなります、おそらく活動している中では唯一の一年生であろう者です。先日の部会で会長からありがたい別名を頂いたのですが、生憎自分の小さい脳みそでは右から入ってそのまま左から出てしまったので、果たしてなんて名乗ればいいのか分からない状況であります。もういいや、()とかにしておこう。うん、空集合とかそんな扱いでいいんじゃないかなもう。名乗る名前すら無いという微妙なやる気の無さが見え隠れして申し訳ない限りではありますけれども。

さて、先日の部会(と飲み会)で会長から「自分の好きな本があったら仮想棚企画見たくしても面白いよね」と言われたので、調子に乗って企画してしまった今日この頃です。
題して、「『リア充』は爆発しろ!『リア獣』はこっちこい!フェア」。つまるところが動物キャラクターの登場したり、あるいは活躍したりする本たちの紹介であります。うん、完全に僕の趣味なんだ、すまない。
ではまず書籍からご紹介をば。

・ダック・コール (稲見一良著、ハヤカワ文庫)
第四回山本周五郎賞受賞作の短編集です。ハードボイルドな内容に仕上がっており、しかしながら本の帯では「まれに見る美しさを持った小説」とも評されております。
ある男のまどろみ、妄想の中での小話集という形を取っているのですが、一つ一つの短編は独立しているので、普通の短編集と変わらないような感じを受けました。ちょっと洒落た感じに装飾された短編集、とでもいえばうまく伝わるのでしょうか。
オススメは第六話の「デコイとブンタ」。デコイの飾らない格好よさに非常に惹かれます。一昔前に流行った『大人のための童話』とかいう、アレです。分析的に読むと、きっと思春期を迎えた少年の云々とか言えるんでしょうけれども、僕としてはただこれはハードボイルドってのを表現するのには制限はないんだぜ!みたいに、作者自身がハードボイルドに言ってくれたんじゃないかな、と思っていたり。

・敵は海賊 海賊版 (神林長平著、ハヤカワ文庫)
超有名スペースオペラシリーズの第一作目。題名からすでに、作者の「ほらほら、なんだかこれ、心惹かれちゃう内容でしょーっ?」みたいな訴えかけがひしひしと感じとれる一冊です。
内容としてはバトルあり、SFあり、の娯楽・大衆小説。こちらも、『作品が書かれた』設定自体は何やら複雑なのですが、そんなのは気にせずにガンガン読めていけます。アプロの調子抜け具合がまた可愛らしい雰囲気です。もちろん『やるときゃやる』イイ男。後半はなにやら収拾つかなくなりそうな展開になっていきますが、それをホホホイっとまとめてしまうのが、神林の『イイ意味で』いやらしい所だと思います。あとジャッケ絵も可愛いですので、もしSFに興味がなくても、猫好きな方なら次に紹介する一冊と合わせてご購入いただきたい一品。ちなみに、同著者が同出版社から出している短編集「狐と踊れ」ではこのプロトタイプというか、真の第一作というか、が載っています。ご参考までに。

・猫の地球儀 焔の章、幽の章 (秋山瑞人著、電撃文庫)
なぜ電撃で出してしまったんだっ、なぜあんな表紙絵なんだっ、と二つの疑問点が残る作品。ラノベとして扱うならばあまりにも出来がよすぎるという、電撃文庫の中でも白眉な一品。焔の章と幽の章はいわゆる上下巻の関係です。要するに二冊合わせて買ってくださいな、ってことです。最近また重版されて嬉しい限りです。
ライトSFじゃあないんだけども(設定が案外緻密)、ハードSFでもない(登場人物は全部ネコかロボット)という分類に困る一冊。しかしながらその面白さは中々のもの。とくに人間が出てこないのに、ネコがネコらしくいるのに、そこまで表現してきますかっ。所詮ラノベだろ、と油断して読んでいたら感情めちゃくちゃいじられまくった高校生の夏。懐かしいなあ。キャラ立ちもしっかりしているし、そこまで複雑に入り乱れているってわけでもないので、不思議とすらすら読んでいける一冊でもあります。こういうところは妙にラノベちっくだから恐ろしい。

・カモメのジョナサン (リチャード・バック著、新潮文庫)
それなりに名の知れた作品、らしいです。というのも僕が人から勧められたからそう思っただけで、実際はどうなのかはちょっとわかりませんけれども。
速く飛びてー、うおおおおぉぉぉぉーっっっ!みたいな、ジャンプにあってもおかしくないような主題なのですが、その内容が静かなタッチで描かれています。挿絵(というよりも写真)がめちゃくちゃ多いのも特徴です。読んでるうちに、自分もひょっとしたらこの話を『そばで』見ている一羽のカモメなんじゃないか、ぐらいに思えてくるぐらい、ひたすらに人間の事はほっておいてカモメのことばかり話している一冊。ってかむしろカモメたちがカモメ学について話してる、みたいなイメージが強かった一冊です。老若男女を問わず『読める』一冊ではありますが、『楽しめる』となると若い部分の人たちにはわかりえない部分があるのかな、と。だって僕もイマイチ作者が伝えたかったこと理解しきれないままなんです。おいおい、そんなんでこんな紹介をしちゃっていいのかい。

・Truth In Fantasy 56 ドラゴン (久保田悠羅とF.E.A.R. 著、新紀元社)
はーい、そこ、「厨二病御用達」とか言わなーい。ね、うん、お兄さんとの約束だぞっ。
よくある「世界の○○大図鑑」みたいな、500円前後の挿絵たっぷりの文庫本の方でもよかったんですが、あえて挿絵のあまり多く無い大判サイズなこちらを紹介してみます。ドラゴンかわいいよね!っていうのは僕の主張なんですけども、この中だとかなりゴツく描かれていたり。でもかっこいいからいいんだ、って、完全に自分の世界に入ってましたね、すいません。
紹介されているドラゴンたちはどれも有名どころばかりで若干それはつまらないのですが、ただ伝説やら神話やらの説明に終始するだけでなく、当時の文化的側面や歴史学的要素などもそれなりに交えて説明されているので、そういった点では文庫の方よりも勝っているかなあ、と。一つのドラゴンの説明に少なくとも4ページ、多くて8ページぐらい使われているのもGoodPointです。そしてまた何より素晴らしいのが、巻末に載せられた参考資料の多さ!こいつのせいで僕はドラゴン書籍で散財しまくった挙句、まだまだ読み切れてない本が積まれているという現状。調子に乗ってAmazonで全部調べてほしいものリストに入れまくると大変なことになります。余談ですが、P199の挿絵のドラゴンが一番かわいいと思います。真面目に龍やドラゴンの文化的背景を学ぶのでしたら『龍の文明史』に限ると思うのですが、それは研究的要素が強すぎてどう紹介すればいいのか分からなくなってしまいます。

漫画の方も紹介したいと思ったんですが、それなりの文章量になってしまったので今回はこの辺りで諦めておきます。会長に怒られなければきっと次回も懲りずにやることと思いますので、その際は生暖かい目で見ていただければ幸いです。いつかは単独で「ドラゴン本フェア」とかやってみたいぐらいドラゴン好きな僕、()がお送りしましたっ。

………あっ、裏エネルギーフェアの本、まだ注文してねえやっ!やべえっ!