ごぶさた | Papytat~東京農工大学生協読書部~

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最近、「モラトリアムが終わる夢」を頻繁に見るナカムラです。

みんなが楽しそうに遊んでいる校舎を、数人の友達と共に立ち去る夢とか。
目覚めた時の脱力感、虚脱感がすごいんです。
もう若くないんです。青春終わりかけ というかもう終わりなんです。

というわけで、(←?)

「ワン・ドリーム みんなでひとつの悪い夢」
中井拓志

を読み返しました。

広範囲に「悪夢」をバラまき、人間を昏倒させる戦術兵器「REPTILE」。
陸自の施設で開発されたそれが暴走し、近隣の町ひとつが悪夢に「汚染」された。
事態の収拾に動く政府。兵器完成のため町を制圧しようとする陸自。
さらには空自やアメリカの思惑も絡み合って事態が複雑化する中、
一人の少女が悪夢の底から「とてつもない怪物」を呼び出してしまう…。

あらすじ↑を読んでもらえれば判るとおり、B級パニック映画そのまんま。
派手なドンパチ、とんでもない設定、お約束な美少女。

だがそれがいい。

この作品に限らず、中井拓志の作品はB級パンデミックホラーばかりです。
それを、ハッタリの効いたSF設定と二転三転して先を読ませないストーリーテーリングで引っぱり、
冗談のように美しいエンディングへと着地させてしまうのが、この作者の凄いところ。
言ってしまえば、お祭りの面白さですね。
人がガヤガヤ騒いでバカも喧嘩もやるけど、終わった後には不思議な余韻が残る、というやつ。

処女作「レフトハンド」や「クウォータームーン」(←内容がちょっと「告白」に似てる)も合わせて、ぜひどうぞ。

あと、「ワン・ドリーム」では基本人は死にませんよ。
血もほとんど流れないし。安心してどうぞ。



ま、あと三人か四人くらい死検閲により削除