コンニチハ、ナカムラです。
気圧の変化のせいか、どうも頭が重いです。
全部気圧のせいです。
明け方までケイゾクのDVD観てたからとか、
飲み会で飲み合わせの悪いカクテルばかり飲んでいたからとか、
床で寝るのに味を占めたからとかが原因なのではありません。
星の舞台からみてる 木本 雅彦
去年、伊藤計劃さんという作家が亡くなりました。
この人はweb上で映画評論とかけっこう書いていて、これがとても面白かった。
現在も、文章の載ったページは残っています。
もっと過去の文、さらには伊藤さんが描いたマンガまで、探せば読むことができます。
だれもかれもが、ブログやらtwitterやら使う時代。人の生きた痕跡が、電子媒体上で様々に残るように
なってきてるわけです。
もちろん、良心的な友人によって、それらが適切に管理されることも多いでしょうが、
立つ鳥跡を濁したくない人だってずいぶんいるはずです。
ねえ、秘密のコレクションをPCの奥深くに隠してる男子諸君?
未公開の小説を同様に隠してる女子諸君?
そんな方々のために、電子媒体から葬式まで死後の様々な作業を代行するのが、
「星の舞台からみてる」のヒロインの仕事。
いかにもこれから生まれてきそうな、面白い設定です。
今や「攻殻機動隊」は、ある意味で時代遅れ。
「星の舞台からみてる」は、もっとゆるやかにネットと現実がつながる未来へ、希望を託す物語。
現実をしっかりと見据えつつ、想像力の羽根を広げている点に、作者の力量を感じます。
ラスト近く、「おいおいwww」と言いたくなるような飛躍もありますが、それはそれで愉快。
ドライな描写が好きな自分としては、登場人物たちの動きにやや不満があるものの、
(あえて言うなら…「悪意が足りない!」)
あの手この手で展開されるSEたちの活躍は十二分に楽しめました。
一度でもネットに触れたことのある方、
つまりどんな方にもおすすめなSFです。
ぜひどうぞ。
(付け加えるなら、作中に登場するエージェントたちの存在について考えると面白い。彼らはネット上で動き回るプログラムなのだけれど、とても人間らしい会話をしている。ただし、彼らは一度も「一人称で話しているとは明言されていない」。現象に「人間らしい」意思を想定することは、人間第一主義の不遜な考え方なのだなあ)
…でも
一人くらいウイルスで脳を灼かれても面白かったのに!
(↑ひとでなしの発言)