ある日、彼の実家からとある1本の包丁を持ち帰りました。
最初は普通にお料理に使われていたのでしょう。
それが、切れ味の低下と共に、
又は新入りにその座を奪われた為に、
一時期は庭の雑草刈りに使われ、
屋外に放置され、
傷みと錆を身に纏い、
雨風にさらされ、
気付くと、黒檀の持ち手部分は脱落し、錆という錆で覆われ、
かつて煌いていたであろうその容姿は、
面影もない状態で
後は捨てられるのを待っているだけの鋼の包丁。
そんなお気の毒な包丁を我が家に引き取ってきました。
いやいや、本当に酷い状態。
機の持ち手の部分は剥がれて、半分になっているし
鋼なので至る所が錆だらけ。
誰もこんな包丁を使おうとは思いません。きっと。
でも、彼はいいました。
「ちゃんと使えるようになる!これは元々いい包丁なんだ!
鋼の包丁は錆びるけどよくしなるし、切れ味もいいんだ。」
ほんとかいな、と思いつつ近所の金物屋さんを捜索。
金物屋さんなんて、今まで行った事もありませんでした。
小さなお店に入ると、ずらりと並んだ包丁や刃物。
奥の作業台?ておじちゃんが何やら作業をしています。
「修理やめて、新しいの買っちゃえば?」なんて言われつつ、
包丁を託しました。
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さて、約5日後、包丁を受け取りに。
どんな姿になっているのか、ちょっと楽しみ。
でも、私は想像もしていませんでした。
あのぼろぼろの包丁が、まさかあんな姿になっているとは・・・。
受け取った包丁は、広告の紙に包まれていました。
「ちょっと見てみようっと」と、開けてビックリ!!!
シルバーにキラキラ輝く、ピッカピカの包丁が出てきました。
あの錆びだらけの、茶色と黒のザラザラデコボコした面は、どこにも見当たらない。
柄の部分は、紫檀のしっとりした輝き。
包丁の刻印も、くっきりと新品同様。
思わず「うっそーーーー!」と叫んでしまった。
職人さん、ごめんなさい。甘く見ていました。すみません。
値切っちゃったし。
そして包丁よ、ごめんなさいね。
こんな姿だったのね。
これがあなたの本当の姿だったのね。
こんなに良い生まれだったなんて。
なんか大げさかもしれませんが、ホントにビックリするくらい変貌したんです。
そして感動してしまった。
なんで修理前の写真撮っておかなかったのかな・・・・。後悔。
同じ包丁を買うと、1万円以上します。
柄の修理と砥ぎ代で、3780円。
安いもんです。
職人さんて凄いなあ。
鋼の包丁の実力も、凄いなあ。
我が家でとびきり切れる包丁が、仲間入りしました。
長く使えそうです。

