1月14日は、ファッションデザイナー、ニナ・リッチが生まれた日(1883年)だが、日本の作家、三島由紀夫の誕生日でもある。
三島由紀夫、本名「平岡公威(きみたけ)」は1925年に、東京で生まれた。祖父は元樺太庁長官、父親は元農林省水産局長という、官僚一家の長男だった。
子どものころから文学好きで、16歳のとき、同人誌に、三島由紀夫のペンネームで「花ざかりの森」を発表。20歳のとき、徴兵を受けたが、入隊のための健康診断で落とされ、即日帰京。22歳で東大法学部を卒業し、大蔵省に入省。
絵に描いたようなエリートコースだったが、23歳で大蔵省を退職。
一大決心をもって作家活動に専念することを決意。24歳のとき、自らの運命をかけた作品『仮面の告白』を発表。圧倒的な魅力と才能を示した本作は絶賛を浴びた。吉行淳之介もこの作品を読み「脱帽した」と言っている。以後三島はつねにマスコミの注目を浴びる流行作家として、
『青の時代』
『禁色』
『潮騒』
『金閣寺』
『永すぎた春』
『美徳のよろめき』
『宴のあと』
『鏡子の部屋』
など話題作を次々と発表した。
1970年11月、45歳のとき、みずからが作り率いた「楯の会」のメンバーとともに、自衛隊の市谷駐屯地に乗りこみ、総監を人質にとり、総監室にたてこもった。バルコニーにでて、自衛隊員にクーデター決起をうながす演説をした後、それがいれられないと見るや、総監室にもどり、割腹自殺した。エリートの家庭に生まれた秀才のエリートだったが、文学と政治に走り、派手な、過激な人生を生きた。
その生きざまが、三島神話とでも呼ぶべき魔法めいた魅力となって、その作品の魅力をさらに増し、読者を惑わせ、酔わせるのかもしれない。
以前、三島由紀夫の最後の四部作である『豊饒の海』の第一部『春の雪』を映画化した映画「春の雪」をみた。映画が悪いわけではないのだろうが、原作がよすぎてしまって、とてもみていられなかった。それくらい、小説『春の雪』は名作である。
文章が流麗で、しかも部分部分はかっちりと明晰で、話の展開がおもしろく、情緒豊かで、場面場面が印象的で、もう、何もいうことがない、すぐれた作品である。
川端康成も『豊饒の海』の第一部『春の雪』と、第二部『奔馬』を読んで、『源氏物語』以来の日本小説の傑作だと思った、と書いている。(「三島由紀夫」『川端康成全集 第十五巻』新潮社)
三島由紀夫自身はこう言っている。
「かつて私は『もし、忙しい人が、三島の小説の中から一遍だけ、三島のよいところ悪いところすべてを凝縮したエキスのような小説を読みたいと求めたら、『憂国』の一遍を読んでもらえればよい』と書いたことがあるが、この気持には今も変りはない」(三島由紀夫『花ざかりの森・憂国』新潮文庫の解説)
三島由紀夫が仮にもっと長生きして、60歳とか70歳になって、どんな枯れた味わいの文章を書いたか、あるいは、どんな天衣無縫の文章を書いたか、と想像すると、読んでみたくてたまらず、その若い死がほんとうに残念でならない。
(2025年1月14日)
●おすすめの電子書籍!
『小説家という生き方(村上春樹から夏目漱石へ)』(金原義明)
人はいかにして小説家になるか、をさぐる画期的な作家論。村上龍、村上春樹から、団鬼六、三島由紀夫、川上宗薫、江戸川乱歩らをへて、鏡花、漱石、鴎外などの文豪まで。新しい角度から大作家たちの生き様、作品を検討。読書体験を次の次元へと誘う文芸評論。
●電子書籍は明鏡舎。
https://www.meikyosha.jp

三島由紀夫、本名「平岡公威(きみたけ)」は1925年に、東京で生まれた。祖父は元樺太庁長官、父親は元農林省水産局長という、官僚一家の長男だった。
子どものころから文学好きで、16歳のとき、同人誌に、三島由紀夫のペンネームで「花ざかりの森」を発表。20歳のとき、徴兵を受けたが、入隊のための健康診断で落とされ、即日帰京。22歳で東大法学部を卒業し、大蔵省に入省。
絵に描いたようなエリートコースだったが、23歳で大蔵省を退職。
一大決心をもって作家活動に専念することを決意。24歳のとき、自らの運命をかけた作品『仮面の告白』を発表。圧倒的な魅力と才能を示した本作は絶賛を浴びた。吉行淳之介もこの作品を読み「脱帽した」と言っている。以後三島はつねにマスコミの注目を浴びる流行作家として、
『青の時代』
『禁色』
『潮騒』
『金閣寺』
『永すぎた春』
『美徳のよろめき』
『宴のあと』
『鏡子の部屋』
など話題作を次々と発表した。
1970年11月、45歳のとき、みずからが作り率いた「楯の会」のメンバーとともに、自衛隊の市谷駐屯地に乗りこみ、総監を人質にとり、総監室にたてこもった。バルコニーにでて、自衛隊員にクーデター決起をうながす演説をした後、それがいれられないと見るや、総監室にもどり、割腹自殺した。エリートの家庭に生まれた秀才のエリートだったが、文学と政治に走り、派手な、過激な人生を生きた。
その生きざまが、三島神話とでも呼ぶべき魔法めいた魅力となって、その作品の魅力をさらに増し、読者を惑わせ、酔わせるのかもしれない。
以前、三島由紀夫の最後の四部作である『豊饒の海』の第一部『春の雪』を映画化した映画「春の雪」をみた。映画が悪いわけではないのだろうが、原作がよすぎてしまって、とてもみていられなかった。それくらい、小説『春の雪』は名作である。
文章が流麗で、しかも部分部分はかっちりと明晰で、話の展開がおもしろく、情緒豊かで、場面場面が印象的で、もう、何もいうことがない、すぐれた作品である。
川端康成も『豊饒の海』の第一部『春の雪』と、第二部『奔馬』を読んで、『源氏物語』以来の日本小説の傑作だと思った、と書いている。(「三島由紀夫」『川端康成全集 第十五巻』新潮社)
三島由紀夫自身はこう言っている。
「かつて私は『もし、忙しい人が、三島の小説の中から一遍だけ、三島のよいところ悪いところすべてを凝縮したエキスのような小説を読みたいと求めたら、『憂国』の一遍を読んでもらえればよい』と書いたことがあるが、この気持には今も変りはない」(三島由紀夫『花ざかりの森・憂国』新潮文庫の解説)
三島由紀夫が仮にもっと長生きして、60歳とか70歳になって、どんな枯れた味わいの文章を書いたか、あるいは、どんな天衣無縫の文章を書いたか、と想像すると、読んでみたくてたまらず、その若い死がほんとうに残念でならない。
(2025年1月14日)
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人はいかにして小説家になるか、をさぐる画期的な作家論。村上龍、村上春樹から、団鬼六、三島由紀夫、川上宗薫、江戸川乱歩らをへて、鏡花、漱石、鴎外などの文豪まで。新しい角度から大作家たちの生き様、作品を検討。読書体験を次の次元へと誘う文芸評論。
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