8月25日は、作曲家で指揮者のレナード・バーンスタインが生まれた日(1918年)だが、バイエルン国王だったルートヴィヒ2世の誕生日でもある。

ルートヴィヒ2世は、1845年、現在のドイツであるバイエルン国の王家に生まれた。祖父がルートヴィヒ1世で、父親がマクシミリアン2世だった。
小さいころ、ゲルマン神話や騎士物語を読んで空想にふける夢見がちな少年だったルートヴィヒ2世は、美しい青年をもっぱら愛した。18歳のとき、父王が没したため、即位してバイエルン王となった。
国王になると彼は、ファンだった作曲家ワーグナーを宮廷に招いて、特別待遇でもてなし、騎士物語に出てくるような中世風の美城「ノイシュヴァンシュタイン城」を建設し、バイエルン国の財政をおおいに傾けた。
21歳のとき、プロイセンとオーストリアとのあいだに戦争が勃発し、戦争嫌いの王は気が進まぬまま、この戦争に巻き込まれた。バイエルンはオーストリア側として参戦したが、結局敗戦となり、バイエルン国はプロイセンに対して多額の賠償金を支払う羽目となった。
25歳のときには、フランスとプロイセンのあいだに戦争がはじまり、バイエルンは今度はプロイセン側に立って参戦。このころから、ルートヴィヒ2世はいよいよ自分の殻に閉じこもるようになり、昼寝て夜起きていて、見えない誰かに話しかけながらたったひとりで食事をとった。
1886年6月、事態を憂慮した宮廷の側近たちによって、ルートヴィヒ2世は退位させられ、湖のほとりにあるベルク城に送られた。その翌日の1886年6月13日、ルートヴィヒ2世は、付き添いの医師とともに、湖で水死体となって発見された。40歳だった。

ルートヴィヒ2世は「狂王」と呼ばれるけれど、彼と唯一親しかった女性であるオーストリーのエリーザベト皇后は、ルートヴィヒ2世は精神異常ではなく、ただ夢見がちな人だったのだと言っている。ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画「ルートヴィヒ/神々の黄昏」のなかで、ロミー・シュナイダーが演じたのがエリーザベトである。

森鴎外の小説『うたかたの記』は、ルートヴィヒ2世について書かれている。
この小説では、夕暮れの湖に浮かんだ小舟に少女を見かけ、妄想にとりつかれ、湖にどんどん歩み入っていくルートヴィヒ2世を、侍医が引きもどそうとして揉み合いになり、ルートヴィヒ2世は大男で力があるので、医者の力は及ばず、ついに二人とも溺死してしまったという解釈だった。
ルートヴィヒ2世が死んだのは、ちょうど鴎外がドイツに留学していたときで、鴎外がリアルタイムの身近で起きた事件としてこれを伝えた。とにもかくにも、強烈な個性の王だった。
(2024年8月25日)



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