12月15日は、仏国のエッフェルが生まれた日(1832年)だが、ポーランドの医者で言語学者のザメンホフの誕生日でもある。エスペラント語を作った人である。
ルドヴィコ・ザメンホフは、1859年、現在のポーランドのビャウィストクにあるユダヤ人家庭に生まれた。本名は、エリエゼル・レヴィ・ザメンホフ。
当時、彼の故郷はロシア領で、いろいろな民族がいて、ロシア語、ポーランド語、ドイツ語、それからヘブライ語の混じったイディッシュ語など、いろいろな言語が飛び交っていた。そうした環境で育ったザメンホフは、人々がコミュニケーションをとるための国際語を作るべきだと早くから考えだし、中学校のころから国際語の構想を練っていたという。
26歳のころにワルシャワの大学を卒業したザメンホフは、眼科医となって開業し、仕事のかたわら、国際語の構築をつづけ、28歳の年に著書『エスペラント博士、国際語、序文と完全なテキスト』を出版、ここにエスペラント語が公表された。
「エスペラント」というのは「希望する者」という意味らしい。
ザメンホフは、1917年4月、ワルシャワで没した。57歳だった。
彼には、子どもが3人いたが、みな、ナチスのホロコーストによって殺された。
最近はほとんど見かけなくなったけれど、昔は街で「エスペラント語教室」の看板をよく見かけた。エスペラント語は、世界共通語を目指して作られた人口の言語で、知り合いにもひとり、エスペラント語ができる人がいるけれど、これができると、真のコスモポリタンにちがいない。
エスペラントを話す「エスペランティスト」の人口は、世界全体で100万人くらいらしい。
コンピュータやインターネットの普及のおかげで、いまでは英語が国際言語として優勢だけれど、これがもしも、コンピュータのプログラムがみな、エスペラント語で書かれていたとしたら、どうだったろうか。
高校時代、成績の悪いクラスメイトが、こんなことを言っていた。
「まったく日本が戦争に負けたから悪いんだ。日本が世界を制服していれば、もう世界中、日本語が通じるから、オレが英語でこんなつらい思いをすることもなかったんだ」
民族主義というのは、言語に貼りついているもので、ザメンホフの意識の高さには頭が下がる。
(2021年12月15日)
●おすすめの電子書籍!
『大人のための世界偉人物語2』(金原義明)
人生の深淵に迫る伝記集 第2弾。ニュートン、ゲーテ、モーツァルト、フロイト、マッカートニー、ビル・ゲイツ……などなど、古今東西30人の生きざまを紹介。偉人たちの意外な素顔、実像を描き、人生の真実を解き明かす。人生を一緒に歩む友として座右の書としたい一冊。
●電子書籍は明鏡舎。
https://www.meikyosha.jp

ルドヴィコ・ザメンホフは、1859年、現在のポーランドのビャウィストクにあるユダヤ人家庭に生まれた。本名は、エリエゼル・レヴィ・ザメンホフ。
当時、彼の故郷はロシア領で、いろいろな民族がいて、ロシア語、ポーランド語、ドイツ語、それからヘブライ語の混じったイディッシュ語など、いろいろな言語が飛び交っていた。そうした環境で育ったザメンホフは、人々がコミュニケーションをとるための国際語を作るべきだと早くから考えだし、中学校のころから国際語の構想を練っていたという。
26歳のころにワルシャワの大学を卒業したザメンホフは、眼科医となって開業し、仕事のかたわら、国際語の構築をつづけ、28歳の年に著書『エスペラント博士、国際語、序文と完全なテキスト』を出版、ここにエスペラント語が公表された。
「エスペラント」というのは「希望する者」という意味らしい。
ザメンホフは、1917年4月、ワルシャワで没した。57歳だった。
彼には、子どもが3人いたが、みな、ナチスのホロコーストによって殺された。
最近はほとんど見かけなくなったけれど、昔は街で「エスペラント語教室」の看板をよく見かけた。エスペラント語は、世界共通語を目指して作られた人口の言語で、知り合いにもひとり、エスペラント語ができる人がいるけれど、これができると、真のコスモポリタンにちがいない。
エスペラントを話す「エスペランティスト」の人口は、世界全体で100万人くらいらしい。
コンピュータやインターネットの普及のおかげで、いまでは英語が国際言語として優勢だけれど、これがもしも、コンピュータのプログラムがみな、エスペラント語で書かれていたとしたら、どうだったろうか。
高校時代、成績の悪いクラスメイトが、こんなことを言っていた。
「まったく日本が戦争に負けたから悪いんだ。日本が世界を制服していれば、もう世界中、日本語が通じるから、オレが英語でこんなつらい思いをすることもなかったんだ」
民族主義というのは、言語に貼りついているもので、ザメンホフの意識の高さには頭が下がる。
(2021年12月15日)
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