来る2019年7月21日(日)には、参議院議員選挙があります。有権者の方はぜひ投票に行きましょう。
以下、今回の選挙について、個人的な予想と意見を書きます。
まず予想ですが、自民党が大勝すると思われます、残念ながら。
残念ながら、というのは、いまの自民党の支配体制が続くことは、日本の将来にとってよくないと悲観するからです。
でも、多くの国会議員を擁する政府与党が一強、多数の小党分立の野党という現在の状況では、野党側に勝ち目はないとはいわないまでも、勝つ確率はきわめて低いでしょう。「選挙で勝つ」とは「現在の議席数より議員が増える」意味です。今回は、自民党躍進でしょう。
政府与党側の議員は、連日テレビや新聞で顔が露出するので、それだけでも選挙時にはとても有利になりますが、それに現在の選挙制度が大政党に有利に作られているので、なおさらです。
公明党も連立与党の一翼ですが、政府方針にアクセルもブレーキもかけられず、たとえ公明党が連立を放棄し野党側にも下野しても自民党は痛くもかゆくもないでしょうし、もはや大勢に影響のない存在となっていると思われますので、ここでは特にとりあげません。そのほかの、自民党寄りの小政党も同様で、存在意義がほとんど感じられません。
つぎに、現在の政権への個人的意見です。
安倍首相をみこしとして担ぐいまの自民党政権には、自分は不満が多いです。
いちばんの不満は、経済政策についてで、経済的弱者である大多数の一般市民をいじめ、既得権をもつ少数の富裕層、政治家、官僚、役人にやさしい政策をずっと貫いてきている安倍政権の姿勢が不満です。
上からお金をかければ、おこぼれが下にもしたたるというトリクルダウン理論は、ほんとうのところは、上の1パーセントが全部もらっておしまい、で、経済格差が拡大されるばかりのまやかし経済理論だと考えますが、これを延々と実施してきた安倍政権は、結局、国民からとりあげた税金を既得権層に渡しただけで、所得の再分配ではなく、じつは所得の強奪をおこなってきたと見ることができます。
戦犯から首相へと復活した元満州官僚の孫で、お金や子育てに苦労したことのない首相には、日々節約を心がける庶民の気持ちなど理解しがたいのは無理ないところかもしれません。側近の麻生副首相にいたっては財閥の当主なのですから、とりまきの環境も悪いです。彼らに、非正規雇用労働者とか技能実習生の生活を想像しろというのが無茶なのでしょう。もっと庶民の声に耳を傾ければいいと思うのですが、やじられるのがいやで街頭演説もせず、官邸に引きこもってイエスマンに囲まれているが幸せと決め込む調子では……。
以前の選挙で自民党は、政治、行政の無駄を徹底的になくすというような公約をかかげていましたが、この公約の実行をいまだ寡聞にして知りません。何千とある不要な特殊法人、官庁の外郭団体を減らすだけで、保育所の整備はもちろん、高齢社会対策もまかなえるのでは? 国会議員を増やすなどという反動的な数合わせでなく、議員をざっくり減らして一票の格差を是正すれば、消費税を上げる必要もなくなるのでは? 参議院自体不要だという議論があるなか、さらに議席数を増やすとは。
優秀な役人や政治家たちを一般社会に下野させ活動させれば、おのずと社会が活性化し、日本経済もまったくちがった様相を呈するにちがいありません。
税金にぶらさがっている連中を遊ばせ、一般庶民だけに税負担を求め、忙しく働かせて考える時間を与えない現政権のやりかたに、自分は憤りを感じている者です。
以上、経済政策について。
また、現政権のコミュニケーション姿勢が不満です。
自分に都合のいいことばかり言い、自分に賛同する者だけを認め、自分に反対する者は認めない。批判や反対意見には耳を貸さず、議論に応じず、強権をもって反論を封じ込めようとする。これはファシズムの骨法で、ヒトラーやスターリンのやり口でしたが、安倍政権のやり方も似ています。
森友・加計学園問題でも、ちゃんと説明をしないではぐらかす、誰が見ても問題の焦点である首相夫人を証人喚問しない、かといって、総理をやめるわけでもない、官房長官も記者会見で、都合の悪い質問をするマスメディアに質問させない、副総理にいたっては担当省の記録改ざんという前代未聞の不祥事に、部下に責任を押し付け、とかげのしっぽ切りですまし、自分の責任については知らぬ存ぜぬを決めこみ居直り居座りつづける。特定秘密保護法の整備や、首相官邸が官庁の人事権を握るなどのシステム整備を着々と進め、誰も文句を言わなくなるよう環境を整えてきた自民党の努力のたまもので、これは1930年前後のドイツ・ナチス党の成りあがり方にひじょうによく似ています。
そういえば、その昔、麻生太郎氏が、ヒトラーのナチスは選挙によって合法的に独裁を手に入れた政権だとテレビで発言していて、どうもジョークのようにも見えず、かといって正気とも考えにくい内容でしたが、ご存じの通り、ナチスは統計の取り方や数字を操作して経済が好調であると見せかけ、対立する政党を暴力で攻撃し、選挙時に対立政党の候補を拘束するという暴挙をやってのけてのしあがった、いわば暴力団政党だった、そうした歴史的事実を知らずに「選挙で独裁を手に入れた」と言ったとすると、無知だなあ、と。まあ「みぞゆう」の人ですから……。
安倍政権の外交政策については、日本は米国の植民地であるという立場を鮮明にし、米国へは足を向けて寝ないという印象ですが、その米国に揺さぶりをかけられ、右往左往している様子です。刻々と変化する国際情勢についていけてません。でも、これは、列強大国に囲まれたなか、強い軍事力を持たず、進む高齢化、世界のなかでしだいに存在感を薄めつつある経済力といった、日本の現在の位置、国情を考えると仕方のないことかもしれません。とくにトランプ大統領のような良識のないリーダーとつきあっていくのは、二枚舌外交の苦手な日本人には容易なことではありません。この点、安倍首相に同情します。ただ、国際協力や国内の技術開発など、日本にはこれまでに誠意で積み上げてきたものがあるので、それらを台無しにせず、大切にする外交政策をもっと心がけては、とは思います。
ただ、安倍首相の政治センスには感服しています。
まず、トピックの連発。
自民党の、あるときは内政、またあるときは外交と、政治の話題の中心なるトピックをつぎつぎと提供し、国民やマスコミや野党を振りまわし、人々をひとつ問題について深く考えさせない、議論させない、飽きさせない政治ショー。あれは、トランプ大統領のツイート戦略と同じで、政治家としてのセンスのよさを感じさせます。今回の選挙でも、争点がいつの間にか政府与党が掲げた争点に、野党側も乗ってしまっている感じです。これは野党が政権をとっても、なかなかまねできない芸当です。ただし、トランプ政権の欺瞞と同じく、政治ショーの裏には、触れてほしくない問題について触れる暇を与えないようにとの狡猾さがかならず隠れているので、ショーを見させられる側のわれわれ国民は注意し目を凝らすことが肝要です。首相が何かひと目をひくパフォーマンスをしたときには、朝三暮四で、じつは国民は猿のように愚弄されているのです。
それから、印象をひっくり返す詭弁術。
「(民主党政権時代を指して)あの悪夢をまた繰り返すのか」
と平気で言ってのける安倍首相の厚顔ぶり。あれも政治センスの光るところです。
民主党が政権をとっていた期間は、自民党は下野していたわけですから、自民党員にとっては「悪夢」だったでしょうが、一般庶民にとっては悪夢でもなんでもなかった。それを、あたかも悪夢の時代であったかのように、白を黒と言いくるめる政治家らしいトーク術で、これはクリントン元米大統領のスピーチのうまさに通じるものがあります。
民主党政権時代に起きたことで悪かったことといえば、東北の大震災と、津波による福島原発の事故、放射能被害でしょうが、地震は天災であって民主党政権の責任ではないし、原発事故にいたっては、自民党政権がそれまで延々と続けてきた原子力政策のつけが、時限爆弾のように民主党政権下で爆発したもので、罪は自民党にあり、なのでした。防波壁をもっと積み上げる必要性が指摘されていたにもかかわらず自民党政権はそれを放置してきたし、いざ原発事故が起きたとき、野党自民党がいったい何をしたのか? これは国家の一大事だと挙国一致体制で協力したか? 長年原子力行政を采配してきたノウハウを生かし、党利を離れて協力したか? 塁が及ぶのを恐れ、ただ息をひそめていたのではなかったか?
「あの災害時に活躍したのが自民党でした」
と言えないから「悪夢」として、責任を他政党になすりつける。これもみごとな政治センスだと思います。
さらに、利用できる状況をすべて利用しようとする抜け目なさ。
この参院選直前になって飛び出した、元ハンセン病患者の家族への賠償を認める裁判所の判決に対し、訴えられた政府側は控訴せず、賠償をおこなうとしたのは安倍首相本人の判断だそうですが、ここにも政治センスがきらりと光っています。この選挙前に、自民党の印象をよくする宣伝として、これ以上のものはありません。しかも、宣伝費は自民党が払うのでなく、賠償は国が払う、国庫から出る、つまり国民が税金ではらってくれる、いわば国民が自民党の宣伝費をもってくれるようなもので、こんないい話はない、ということになります。
もちろん、これは斜に構えた見方で、表向きは現政権が人道的に下した判断であり、被害者側にとってはよいことであり、長らく差別されてきた人たちにようやく正義が報われたのであり、これが先例となり今後の同様の救済にもよい影響が出るだろうことを考えあわせれば、やはりよい判断だったと思いますけれど。
以上、今回の参院選に際しての、自分の予想と個人的意見でした。
個人的には、自民党の対抗軸となりうる政党としてもっとも有望である、枝野幸男さん率いる立憲民主党を応援しています。
こんな風にアンチ自民党路線で書いてくると、政府与党か、あるいはその息がかかった官庁方面から、なんらかの圧力があるかもしれません。自分が拘束され音信が途絶えたら、それは日本の未来を思って口を開いた憂国の志のゆえとご理解ください。
それにしても……。
トランプ、習近平、プーチン、金正恩、そして安倍晋三と、世界には独裁的に強権を発動しようとする指導者が顔をそろえています。なんだか、ヒトラー、ムッソリーニ、スターリンとカードがそろった80年前の世界状況を思い起こさせます。
歴史学を研究する者として自分が立てた、はずれてほしい予想に、
「来年2020年に戦争が勃発する」
というのがあります。たぶん、東京五輪後に。
そうならないために役立つ、今回の選挙結果でありますように。
繰り返しますが、来る2019年7月21日の参議院議員選挙には、ぜひ投票に行きましょう。
どの政党、候補に入れてもけっこうで、とにかく、まず自分が持っている参政権を有効に生かしましょう。
ファシズムがもっとも好むのは、投票所へ足を運ばない、意見を表さない人々です。ものを言わない沈黙の有権者たちです。黙っている人が多ければ多いほど、ファシズムは強大化し、庶民一人ひとりの首根っこをしっかりとつかまえられるようになります。一票を投じ、ものを言いましょう。長文、おつきあいいただき、感謝します。
(2019年7月15日)
●電子書籍は明鏡舎。
http://www.meikyosha.com

以下、今回の選挙について、個人的な予想と意見を書きます。
まず予想ですが、自民党が大勝すると思われます、残念ながら。
残念ながら、というのは、いまの自民党の支配体制が続くことは、日本の将来にとってよくないと悲観するからです。
でも、多くの国会議員を擁する政府与党が一強、多数の小党分立の野党という現在の状況では、野党側に勝ち目はないとはいわないまでも、勝つ確率はきわめて低いでしょう。「選挙で勝つ」とは「現在の議席数より議員が増える」意味です。今回は、自民党躍進でしょう。
政府与党側の議員は、連日テレビや新聞で顔が露出するので、それだけでも選挙時にはとても有利になりますが、それに現在の選挙制度が大政党に有利に作られているので、なおさらです。
公明党も連立与党の一翼ですが、政府方針にアクセルもブレーキもかけられず、たとえ公明党が連立を放棄し野党側にも下野しても自民党は痛くもかゆくもないでしょうし、もはや大勢に影響のない存在となっていると思われますので、ここでは特にとりあげません。そのほかの、自民党寄りの小政党も同様で、存在意義がほとんど感じられません。
つぎに、現在の政権への個人的意見です。
安倍首相をみこしとして担ぐいまの自民党政権には、自分は不満が多いです。
いちばんの不満は、経済政策についてで、経済的弱者である大多数の一般市民をいじめ、既得権をもつ少数の富裕層、政治家、官僚、役人にやさしい政策をずっと貫いてきている安倍政権の姿勢が不満です。
上からお金をかければ、おこぼれが下にもしたたるというトリクルダウン理論は、ほんとうのところは、上の1パーセントが全部もらっておしまい、で、経済格差が拡大されるばかりのまやかし経済理論だと考えますが、これを延々と実施してきた安倍政権は、結局、国民からとりあげた税金を既得権層に渡しただけで、所得の再分配ではなく、じつは所得の強奪をおこなってきたと見ることができます。
戦犯から首相へと復活した元満州官僚の孫で、お金や子育てに苦労したことのない首相には、日々節約を心がける庶民の気持ちなど理解しがたいのは無理ないところかもしれません。側近の麻生副首相にいたっては財閥の当主なのですから、とりまきの環境も悪いです。彼らに、非正規雇用労働者とか技能実習生の生活を想像しろというのが無茶なのでしょう。もっと庶民の声に耳を傾ければいいと思うのですが、やじられるのがいやで街頭演説もせず、官邸に引きこもってイエスマンに囲まれているが幸せと決め込む調子では……。
以前の選挙で自民党は、政治、行政の無駄を徹底的になくすというような公約をかかげていましたが、この公約の実行をいまだ寡聞にして知りません。何千とある不要な特殊法人、官庁の外郭団体を減らすだけで、保育所の整備はもちろん、高齢社会対策もまかなえるのでは? 国会議員を増やすなどという反動的な数合わせでなく、議員をざっくり減らして一票の格差を是正すれば、消費税を上げる必要もなくなるのでは? 参議院自体不要だという議論があるなか、さらに議席数を増やすとは。
優秀な役人や政治家たちを一般社会に下野させ活動させれば、おのずと社会が活性化し、日本経済もまったくちがった様相を呈するにちがいありません。
税金にぶらさがっている連中を遊ばせ、一般庶民だけに税負担を求め、忙しく働かせて考える時間を与えない現政権のやりかたに、自分は憤りを感じている者です。
以上、経済政策について。
また、現政権のコミュニケーション姿勢が不満です。
自分に都合のいいことばかり言い、自分に賛同する者だけを認め、自分に反対する者は認めない。批判や反対意見には耳を貸さず、議論に応じず、強権をもって反論を封じ込めようとする。これはファシズムの骨法で、ヒトラーやスターリンのやり口でしたが、安倍政権のやり方も似ています。
森友・加計学園問題でも、ちゃんと説明をしないではぐらかす、誰が見ても問題の焦点である首相夫人を証人喚問しない、かといって、総理をやめるわけでもない、官房長官も記者会見で、都合の悪い質問をするマスメディアに質問させない、副総理にいたっては担当省の記録改ざんという前代未聞の不祥事に、部下に責任を押し付け、とかげのしっぽ切りですまし、自分の責任については知らぬ存ぜぬを決めこみ居直り居座りつづける。特定秘密保護法の整備や、首相官邸が官庁の人事権を握るなどのシステム整備を着々と進め、誰も文句を言わなくなるよう環境を整えてきた自民党の努力のたまもので、これは1930年前後のドイツ・ナチス党の成りあがり方にひじょうによく似ています。
そういえば、その昔、麻生太郎氏が、ヒトラーのナチスは選挙によって合法的に独裁を手に入れた政権だとテレビで発言していて、どうもジョークのようにも見えず、かといって正気とも考えにくい内容でしたが、ご存じの通り、ナチスは統計の取り方や数字を操作して経済が好調であると見せかけ、対立する政党を暴力で攻撃し、選挙時に対立政党の候補を拘束するという暴挙をやってのけてのしあがった、いわば暴力団政党だった、そうした歴史的事実を知らずに「選挙で独裁を手に入れた」と言ったとすると、無知だなあ、と。まあ「みぞゆう」の人ですから……。
安倍政権の外交政策については、日本は米国の植民地であるという立場を鮮明にし、米国へは足を向けて寝ないという印象ですが、その米国に揺さぶりをかけられ、右往左往している様子です。刻々と変化する国際情勢についていけてません。でも、これは、列強大国に囲まれたなか、強い軍事力を持たず、進む高齢化、世界のなかでしだいに存在感を薄めつつある経済力といった、日本の現在の位置、国情を考えると仕方のないことかもしれません。とくにトランプ大統領のような良識のないリーダーとつきあっていくのは、二枚舌外交の苦手な日本人には容易なことではありません。この点、安倍首相に同情します。ただ、国際協力や国内の技術開発など、日本にはこれまでに誠意で積み上げてきたものがあるので、それらを台無しにせず、大切にする外交政策をもっと心がけては、とは思います。
ただ、安倍首相の政治センスには感服しています。
まず、トピックの連発。
自民党の、あるときは内政、またあるときは外交と、政治の話題の中心なるトピックをつぎつぎと提供し、国民やマスコミや野党を振りまわし、人々をひとつ問題について深く考えさせない、議論させない、飽きさせない政治ショー。あれは、トランプ大統領のツイート戦略と同じで、政治家としてのセンスのよさを感じさせます。今回の選挙でも、争点がいつの間にか政府与党が掲げた争点に、野党側も乗ってしまっている感じです。これは野党が政権をとっても、なかなかまねできない芸当です。ただし、トランプ政権の欺瞞と同じく、政治ショーの裏には、触れてほしくない問題について触れる暇を与えないようにとの狡猾さがかならず隠れているので、ショーを見させられる側のわれわれ国民は注意し目を凝らすことが肝要です。首相が何かひと目をひくパフォーマンスをしたときには、朝三暮四で、じつは国民は猿のように愚弄されているのです。
それから、印象をひっくり返す詭弁術。
「(民主党政権時代を指して)あの悪夢をまた繰り返すのか」
と平気で言ってのける安倍首相の厚顔ぶり。あれも政治センスの光るところです。
民主党が政権をとっていた期間は、自民党は下野していたわけですから、自民党員にとっては「悪夢」だったでしょうが、一般庶民にとっては悪夢でもなんでもなかった。それを、あたかも悪夢の時代であったかのように、白を黒と言いくるめる政治家らしいトーク術で、これはクリントン元米大統領のスピーチのうまさに通じるものがあります。
民主党政権時代に起きたことで悪かったことといえば、東北の大震災と、津波による福島原発の事故、放射能被害でしょうが、地震は天災であって民主党政権の責任ではないし、原発事故にいたっては、自民党政権がそれまで延々と続けてきた原子力政策のつけが、時限爆弾のように民主党政権下で爆発したもので、罪は自民党にあり、なのでした。防波壁をもっと積み上げる必要性が指摘されていたにもかかわらず自民党政権はそれを放置してきたし、いざ原発事故が起きたとき、野党自民党がいったい何をしたのか? これは国家の一大事だと挙国一致体制で協力したか? 長年原子力行政を采配してきたノウハウを生かし、党利を離れて協力したか? 塁が及ぶのを恐れ、ただ息をひそめていたのではなかったか?
「あの災害時に活躍したのが自民党でした」
と言えないから「悪夢」として、責任を他政党になすりつける。これもみごとな政治センスだと思います。
さらに、利用できる状況をすべて利用しようとする抜け目なさ。
この参院選直前になって飛び出した、元ハンセン病患者の家族への賠償を認める裁判所の判決に対し、訴えられた政府側は控訴せず、賠償をおこなうとしたのは安倍首相本人の判断だそうですが、ここにも政治センスがきらりと光っています。この選挙前に、自民党の印象をよくする宣伝として、これ以上のものはありません。しかも、宣伝費は自民党が払うのでなく、賠償は国が払う、国庫から出る、つまり国民が税金ではらってくれる、いわば国民が自民党の宣伝費をもってくれるようなもので、こんないい話はない、ということになります。
もちろん、これは斜に構えた見方で、表向きは現政権が人道的に下した判断であり、被害者側にとってはよいことであり、長らく差別されてきた人たちにようやく正義が報われたのであり、これが先例となり今後の同様の救済にもよい影響が出るだろうことを考えあわせれば、やはりよい判断だったと思いますけれど。
以上、今回の参院選に際しての、自分の予想と個人的意見でした。
個人的には、自民党の対抗軸となりうる政党としてもっとも有望である、枝野幸男さん率いる立憲民主党を応援しています。
こんな風にアンチ自民党路線で書いてくると、政府与党か、あるいはその息がかかった官庁方面から、なんらかの圧力があるかもしれません。自分が拘束され音信が途絶えたら、それは日本の未来を思って口を開いた憂国の志のゆえとご理解ください。
それにしても……。
トランプ、習近平、プーチン、金正恩、そして安倍晋三と、世界には独裁的に強権を発動しようとする指導者が顔をそろえています。なんだか、ヒトラー、ムッソリーニ、スターリンとカードがそろった80年前の世界状況を思い起こさせます。
歴史学を研究する者として自分が立てた、はずれてほしい予想に、
「来年2020年に戦争が勃発する」
というのがあります。たぶん、東京五輪後に。
そうならないために役立つ、今回の選挙結果でありますように。
繰り返しますが、来る2019年7月21日の参議院議員選挙には、ぜひ投票に行きましょう。
どの政党、候補に入れてもけっこうで、とにかく、まず自分が持っている参政権を有効に生かしましょう。
ファシズムがもっとも好むのは、投票所へ足を運ばない、意見を表さない人々です。ものを言わない沈黙の有権者たちです。黙っている人が多ければ多いほど、ファシズムは強大化し、庶民一人ひとりの首根っこをしっかりとつかまえられるようになります。一票を投じ、ものを言いましょう。長文、おつきあいいただき、感謝します。
(2019年7月15日)
●電子書籍は明鏡舎。
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