やれやれ、政府自民党には、先の衆院選の際に掲げた公約「政官の無駄を徹底的になくす」に、いいかげん手をつけてもらいたいものです。膨大な数にのぼる税金食いシロアリの無駄な特殊法人、独立行政法人の駆除など。
さて、国会で「共謀罪」法案が審議されています。
「共謀罪」を、政府自民党は「テロ等準備罪」と呼びかえ、必要な法案だという印象を醸しだそうとしているようですが、ここでは「共謀罪」と呼びます。
この法案は、明らかに戦前の治安維持法をレッテルだけ貼り換えたもので、その目的とするところは言論の圧殺、思想の取り締まりです。これまで日本の法律は「疑わしきは罰せず」の原則だったのを、この法案は「疑わしきも罰する」の法律です。
ポイントは、誰が罪ありと判断するのかという点にあります。
政府答弁では「一般人は対象外」とのことですが、戦前の治安維持法審議時の政府答弁「無辜(むこ、罪のない)の民には及ばさない」とまったく同じで、政府官憲が「こいつは胸のうちでテロを企てている(悪いやつだ)」とにらめば、たちまちその狙われた市民は一般人でなくなる仕掛けです。要するに、気に入らないやつは閉じ込めるぞ、です。
これを評価する公平な第三者委員会や国際監視団はありません。狙われたら終わりです。
政府の答弁では、一般の集団は対象としないと言っていますが、いったい、どこのテロ集団が「われわれはテロを企画していまーす」と看板を出しているでしょうか?
いつの日か、いまこうしてネット上で政府への反対意見を述べた事実を取り上げて、
「表向きは投稿だが、裏の顔は政府転覆ネットテロを呼びかけた集団の一味である」
と決めつけられ、筆者も暗いところへ引っ張られるかもしれません。
特定秘密保護法ができて、公務員の内部告発、政府や官庁への批判はすでに圧殺されています。特定秘密保護法をたてにとれば、逮捕理由も国家機密だからと非公開にできますが、共謀罪法案は批判圧殺を一般市民にも広げ、言論統制をだめ押しする法案と言えます。
この法案がなければ国際条約「国際組織犯罪防止条約」を批准できないというのは、防止条約のガイドラインから見ても、明らかにうそです。
共謀罪法案がなければ、東京オリンピックが開けないという首相の答弁は、ヒステリックな詭弁です。それに、もしも五輪が開けないのなら、やめればいい。もともと、福島原発の放射能汚染地下水が手に負えなかったまさにそのときに「福島は管理できています」と大うそをついて引っ張ってきたうその五輪なのですから。(現在でも原子炉内の状態すらよくわからないのに)
新聞の世論調査の結果、「テロ準備罪法案」の語感に惑わされたのか、共謀罪に賛成する人が意外に多かったのに驚きました。法改正をへて近い将来に出現するであろう対テロ特捜部(昔の特高警察を名を変えたもの)にひっ立てられてはじめてこの法案の真意に気づく人は、すくなくないのかもしれません。
なぜ、将来逮捕される危険をおかしてこういう意見を書くのかというと、筆者が歴史学研究者だからです。歴史学者は、自分自身もいまこの瞬間に現代史を作っているという責任があります。だから、後知恵で「それ見たことか」でなく、いま、書くのです。
また、こういうこともあります。
もしも、いじめの罪が、いじめた加害者本人だけでなく、いじめを目撃しつつ黙認した者にもあるのであれば、この共謀罪の審議・成立を黙って見ていた者にも、共謀罪が成立した場合に引き起こされる悲喜劇について罪があるはずだという良心から、ここに、明確に同法案に反対であることを表明しておきます。
これが間接民主主義のこわいところですが、政府自民党にはぜひ、選挙時の公約になかったことでなく、まず公約を実行してもらいたいです。
(2017年5月5日)
勇気ある方は、下記関係筋へ投書を。
首相官邸・意見
https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html
自民党・意見
https://www.jimin.jp/voice/
民進党・意見
https://www.minshin.or.jp/form/contact/request
公明党・意見
https://www.komei.or.jp/contact/
●電子書籍は明鏡舎。
http://www.meikyosha.com

さて、国会で「共謀罪」法案が審議されています。
「共謀罪」を、政府自民党は「テロ等準備罪」と呼びかえ、必要な法案だという印象を醸しだそうとしているようですが、ここでは「共謀罪」と呼びます。
この法案は、明らかに戦前の治安維持法をレッテルだけ貼り換えたもので、その目的とするところは言論の圧殺、思想の取り締まりです。これまで日本の法律は「疑わしきは罰せず」の原則だったのを、この法案は「疑わしきも罰する」の法律です。
ポイントは、誰が罪ありと判断するのかという点にあります。
政府答弁では「一般人は対象外」とのことですが、戦前の治安維持法審議時の政府答弁「無辜(むこ、罪のない)の民には及ばさない」とまったく同じで、政府官憲が「こいつは胸のうちでテロを企てている(悪いやつだ)」とにらめば、たちまちその狙われた市民は一般人でなくなる仕掛けです。要するに、気に入らないやつは閉じ込めるぞ、です。
これを評価する公平な第三者委員会や国際監視団はありません。狙われたら終わりです。
政府の答弁では、一般の集団は対象としないと言っていますが、いったい、どこのテロ集団が「われわれはテロを企画していまーす」と看板を出しているでしょうか?
いつの日か、いまこうしてネット上で政府への反対意見を述べた事実を取り上げて、
「表向きは投稿だが、裏の顔は政府転覆ネットテロを呼びかけた集団の一味である」
と決めつけられ、筆者も暗いところへ引っ張られるかもしれません。
特定秘密保護法ができて、公務員の内部告発、政府や官庁への批判はすでに圧殺されています。特定秘密保護法をたてにとれば、逮捕理由も国家機密だからと非公開にできますが、共謀罪法案は批判圧殺を一般市民にも広げ、言論統制をだめ押しする法案と言えます。
この法案がなければ国際条約「国際組織犯罪防止条約」を批准できないというのは、防止条約のガイドラインから見ても、明らかにうそです。
共謀罪法案がなければ、東京オリンピックが開けないという首相の答弁は、ヒステリックな詭弁です。それに、もしも五輪が開けないのなら、やめればいい。もともと、福島原発の放射能汚染地下水が手に負えなかったまさにそのときに「福島は管理できています」と大うそをついて引っ張ってきたうその五輪なのですから。(現在でも原子炉内の状態すらよくわからないのに)
新聞の世論調査の結果、「テロ準備罪法案」の語感に惑わされたのか、共謀罪に賛成する人が意外に多かったのに驚きました。法改正をへて近い将来に出現するであろう対テロ特捜部(昔の特高警察を名を変えたもの)にひっ立てられてはじめてこの法案の真意に気づく人は、すくなくないのかもしれません。
なぜ、将来逮捕される危険をおかしてこういう意見を書くのかというと、筆者が歴史学研究者だからです。歴史学者は、自分自身もいまこの瞬間に現代史を作っているという責任があります。だから、後知恵で「それ見たことか」でなく、いま、書くのです。
また、こういうこともあります。
もしも、いじめの罪が、いじめた加害者本人だけでなく、いじめを目撃しつつ黙認した者にもあるのであれば、この共謀罪の審議・成立を黙って見ていた者にも、共謀罪が成立した場合に引き起こされる悲喜劇について罪があるはずだという良心から、ここに、明確に同法案に反対であることを表明しておきます。
これが間接民主主義のこわいところですが、政府自民党にはぜひ、選挙時の公約になかったことでなく、まず公約を実行してもらいたいです。
(2017年5月5日)
勇気ある方は、下記関係筋へ投書を。
首相官邸・意見
https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html
自民党・意見
https://www.jimin.jp/voice/
民進党・意見
https://www.minshin.or.jp/form/contact/request
公明党・意見
https://www.komei.or.jp/contact/
●電子書籍は明鏡舎。
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