5月9日は、『ピーター・パン』の作者ジェームス・バリーが生まれた日(1860年)だが、米国のシンガーソングライター、ビリー・ジョエルの誕生日でもある。
ビリー・ジョエルは、1949年、米国ニューヨーク州で生まれた。両親はともにユダヤ系で、父親はドイツから越してきた移民だった。
小さいころから母親に言われてピアノを習わされたビリーは、十代の一時期はボクシングに熱中していて、かなり強かったらしい。
高校生のころからバンドを組み、バーでピアノを弾いていたビリーは、高校を中退して、音楽の道一本にしぼった。そうして、22歳のとき、レコード会社と契約し、アルバム「コールド・スプリング・ハーバー」をリリースした。しかし、このデビューアルバムは、レコード会社が元音源のテープの回転速度をまちがえて速くまわしてしまい、ビリーの声が本来より半音高いという信じられないレコードになってしまった。とうぜん、売れず、ビリーはショックを受け、一時鬱状態になった。
その後、レコード会社を移ったビリーは、24歳のとき、アルバム「ピアノ・マン」を発表。これが大ヒットとなり、以後「ストレンジャー」「ニューヨーク52番街」「グラス・ハウス」「ナイロン・カーテン」「イノセント・マン」などの名盤を発表。世界的なシンガーソングライターとなった。
ビリー・ジョエルの曲の第一の特徴は、メロディーが美しいことである。とくに1970年代のシングル曲「ピアノ・マン」「ストレンジャー」「素顔のままで」「オネスティ」など、とても美しい。当時の奥さんに捧げたグラミー賞受賞曲「素顔のままで」など、同時代に流行ったほかのアーティストの曲とあらためて聴き比べてみると、不思議なことにこの曲だけが、まったく古さを感じさせない。ビリーの楽曲は、何十年たっても古さを感じさせない、ある普遍的な「永遠的」とでも呼ぶべき美しさを備えている。
曲を作ると、どうしても美しいメロディーになってしまう、そんな人だという気がする。ただし、ビリー自身はときどきそれを嫌うのか、わざと美しさを壊し、ビートのきいたロックを作ろうとしたりもするようだ。それでも彼が作ると、「マイ・ライフ」とか「ロックンロールが最高さ」「あの娘にアタック」「アップタウン・ガール」のような軽快なヒット曲になってしまって、美しさがこわしきれていない。
彼の美しい楽曲は、米国や日本では大ヒットしたが、パンクムーブメントを経験している英国では、なかなかチャートの第一位にはのぼれなかった。が、ビリーが34歳のときに「アップタウン・ガール」がついに英国でもナンバーワンとなった。この曲のノリのよさに、英国のリスナーたちもついに降参したのだろう。
その昔、日本で「愛は勝つ」という曲がヒットしたことがあったけれど、あれは作曲者のKANが、ビリー・ジョエルの「アップタウン・ガール」に刺激を受け、こういういつまでも延々と続く曲を作ろうとしてできた曲だと、本人が言うのを聞いたことがある。
ビリー・ジョエルは、すばらしい才能に恵まれたメロディーメイカーである。
(2015年5月9日)
●おすすめの電子書籍!
『ロック人物論』(金原義明)
ロックスターたちの人生と音楽性に迫る人物評論集。エルヴィス・プレスリー、ボブ・ディラン、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ジミー・ペイジ、デヴィッド・ボウイ、スティング、マドンナ、マイケル・ジャクソン、ビョークなど31人を取り上げ、分析。意外な事実、裏話、秘話、そしてロック・ミュージックの本質がいま解き明かされる。
●電子書籍は明鏡舎。
http://www.meikyosha.com

ビリー・ジョエルは、1949年、米国ニューヨーク州で生まれた。両親はともにユダヤ系で、父親はドイツから越してきた移民だった。
小さいころから母親に言われてピアノを習わされたビリーは、十代の一時期はボクシングに熱中していて、かなり強かったらしい。
高校生のころからバンドを組み、バーでピアノを弾いていたビリーは、高校を中退して、音楽の道一本にしぼった。そうして、22歳のとき、レコード会社と契約し、アルバム「コールド・スプリング・ハーバー」をリリースした。しかし、このデビューアルバムは、レコード会社が元音源のテープの回転速度をまちがえて速くまわしてしまい、ビリーの声が本来より半音高いという信じられないレコードになってしまった。とうぜん、売れず、ビリーはショックを受け、一時鬱状態になった。
その後、レコード会社を移ったビリーは、24歳のとき、アルバム「ピアノ・マン」を発表。これが大ヒットとなり、以後「ストレンジャー」「ニューヨーク52番街」「グラス・ハウス」「ナイロン・カーテン」「イノセント・マン」などの名盤を発表。世界的なシンガーソングライターとなった。
ビリー・ジョエルの曲の第一の特徴は、メロディーが美しいことである。とくに1970年代のシングル曲「ピアノ・マン」「ストレンジャー」「素顔のままで」「オネスティ」など、とても美しい。当時の奥さんに捧げたグラミー賞受賞曲「素顔のままで」など、同時代に流行ったほかのアーティストの曲とあらためて聴き比べてみると、不思議なことにこの曲だけが、まったく古さを感じさせない。ビリーの楽曲は、何十年たっても古さを感じさせない、ある普遍的な「永遠的」とでも呼ぶべき美しさを備えている。
曲を作ると、どうしても美しいメロディーになってしまう、そんな人だという気がする。ただし、ビリー自身はときどきそれを嫌うのか、わざと美しさを壊し、ビートのきいたロックを作ろうとしたりもするようだ。それでも彼が作ると、「マイ・ライフ」とか「ロックンロールが最高さ」「あの娘にアタック」「アップタウン・ガール」のような軽快なヒット曲になってしまって、美しさがこわしきれていない。
彼の美しい楽曲は、米国や日本では大ヒットしたが、パンクムーブメントを経験している英国では、なかなかチャートの第一位にはのぼれなかった。が、ビリーが34歳のときに「アップタウン・ガール」がついに英国でもナンバーワンとなった。この曲のノリのよさに、英国のリスナーたちもついに降参したのだろう。
その昔、日本で「愛は勝つ」という曲がヒットしたことがあったけれど、あれは作曲者のKANが、ビリー・ジョエルの「アップタウン・ガール」に刺激を受け、こういういつまでも延々と続く曲を作ろうとしてできた曲だと、本人が言うのを聞いたことがある。
ビリー・ジョエルは、すばらしい才能に恵まれたメロディーメイカーである。
(2015年5月9日)
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