2月14日は、ローマ時代に自由結婚を主張した聖バレンタインが処刑された日(269年)で、観覧車を発明した米国人技術者、ジョージ・フェリスが生まれた日(1859年)だが、世界企業「トヨタ」の創業者、豊田佐吉(とよださきち)の誕生日でもある。
自分は静岡県西部の生まれで、昔で言えば遠江の国である。小さいころから祖父に、この遠江の国出身の偉人である豊田佐吉の話をよく聞かされた。自動織機の発明者である。
豊田佐吉は、慶応3年2月14日に、現在の静岡県湖西市で生まれた。4人きょうだいのいちばん上で、父親は大工と農業をしていた。
通っていた寺子屋が途中で小学校に替わったという時代に育った佐吉は、父親について大工の修行をしていたが、紡績に興味をもち、ときどき家出をしては工場を見てまわった。
資金も教育もないうえは、発明によって立つべしと心を決め、18歳のころには、機織機(はたおりき)の改良に着手していた。
彼は出奔しては、ひと旗揚げるでもなく手ぶらで帰ってきて、納屋に閉じこもって機織機の研究を続け、わずかな田畑をすこしずつ売って、なお発明に注ぎ込み、試作品を作っては壊すことを続けたため、地元では変人扱いされた。
そうして、23歳のとき、木製の人力織機を発明し、特許申請をし、翌年に特許がおりた。
29歳のとき、機械式織機を発明。
37歳のとき、自動織機を発明。
39歳のとき、豊田織機株式会社を設立。これが現在の世界企業「トヨタ自動車グループ」に発展していくことになる。
豊田はその後も発明と改良を進め、生涯に取得した発明の特許84件、外国でとった特許が13件という発明王だった。
1930年10月、脳溢血と肺炎のため、名古屋の自宅で、没した。63歳だった。
学生時代の先輩や友人がトヨタ・グループに就職していて、自分はその様子を聞いたこともあるし、トヨタの社宅に泊めてもらったこともある。
豊田佐吉が作った豊田自動織機は、トヨタ・グループの本家であって、トヨタ自動車の大株主で、もちろん現在でも繁栄している。
豊田自動織機は、いまでは、会社の売り上げの半分以上は一般自動車、そして4割近くが産業用自動車と、自動車のメーカーになっている。5万人近い社員がいるらしい。
愛知県の豊田市とか刈谷市など、あの辺一帯は、トヨタの企業城下町というか、企業平野と呼ぶべき地方になっている。都市のなかに会社があるのでなく、会社のなかにいくつもの都市がある感じで、ものすごい数の世帯がトヨタを頼りにして生活している。もちろん、米国ほか世界各国にトヨタはある。豊田佐吉が根を作った木は、彼の没後、巨大な樹木に成長した。その巨木は、その地方を変え、日本を変え、また世界をも変えてしまった。
それもこれもすべて、家の田畑を売り払い、田舎の納屋で試行錯誤を続け、頭がおかしいと言われながらも途中でやめなかったおかげだと思うと、人生、やっぱり「一瞬先は光」かなあ、と思う。
(2014年2月14日)
●おすすめの電子書籍!
『2月生まれについて』(ぱぴろう)
ジョージ・フェリス、ジョルジュ・シムノン、エジソン、トリュフォー、ジョン・マッケンロー、スティーブ・ジョブズ、ロベルト・バッジョ、ルドルフ・シュタイナー、山本寛斎、志賀直哉、村上龍、桑田佳佑など、2月誕生の29人の人物評論。人気ブログの元となった、より長く、味わい深いオリジナル原稿版。2月生まれの必読書。
『暗がりでこっそり触って』(三井アキラ)
愛をさがし求める女探偵・北条冴子は、依頼を受けタレント志望の娘を尾行。娘の意外な素顔が明らかになっていくなか、冴子の前に現れた新事実とは。官能推理小説。「夜の探偵・北条冴子」シリーズ第二弾。
http://www.meikyosha.com
自分は静岡県西部の生まれで、昔で言えば遠江の国である。小さいころから祖父に、この遠江の国出身の偉人である豊田佐吉の話をよく聞かされた。自動織機の発明者である。
豊田佐吉は、慶応3年2月14日に、現在の静岡県湖西市で生まれた。4人きょうだいのいちばん上で、父親は大工と農業をしていた。
通っていた寺子屋が途中で小学校に替わったという時代に育った佐吉は、父親について大工の修行をしていたが、紡績に興味をもち、ときどき家出をしては工場を見てまわった。
資金も教育もないうえは、発明によって立つべしと心を決め、18歳のころには、機織機(はたおりき)の改良に着手していた。
彼は出奔しては、ひと旗揚げるでもなく手ぶらで帰ってきて、納屋に閉じこもって機織機の研究を続け、わずかな田畑をすこしずつ売って、なお発明に注ぎ込み、試作品を作っては壊すことを続けたため、地元では変人扱いされた。
そうして、23歳のとき、木製の人力織機を発明し、特許申請をし、翌年に特許がおりた。
29歳のとき、機械式織機を発明。
37歳のとき、自動織機を発明。
39歳のとき、豊田織機株式会社を設立。これが現在の世界企業「トヨタ自動車グループ」に発展していくことになる。
豊田はその後も発明と改良を進め、生涯に取得した発明の特許84件、外国でとった特許が13件という発明王だった。
1930年10月、脳溢血と肺炎のため、名古屋の自宅で、没した。63歳だった。
学生時代の先輩や友人がトヨタ・グループに就職していて、自分はその様子を聞いたこともあるし、トヨタの社宅に泊めてもらったこともある。
豊田佐吉が作った豊田自動織機は、トヨタ・グループの本家であって、トヨタ自動車の大株主で、もちろん現在でも繁栄している。
豊田自動織機は、いまでは、会社の売り上げの半分以上は一般自動車、そして4割近くが産業用自動車と、自動車のメーカーになっている。5万人近い社員がいるらしい。
愛知県の豊田市とか刈谷市など、あの辺一帯は、トヨタの企業城下町というか、企業平野と呼ぶべき地方になっている。都市のなかに会社があるのでなく、会社のなかにいくつもの都市がある感じで、ものすごい数の世帯がトヨタを頼りにして生活している。もちろん、米国ほか世界各国にトヨタはある。豊田佐吉が根を作った木は、彼の没後、巨大な樹木に成長した。その巨木は、その地方を変え、日本を変え、また世界をも変えてしまった。
それもこれもすべて、家の田畑を売り払い、田舎の納屋で試行錯誤を続け、頭がおかしいと言われながらも途中でやめなかったおかげだと思うと、人生、やっぱり「一瞬先は光」かなあ、と思う。
(2014年2月14日)
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『2月生まれについて』(ぱぴろう)
ジョージ・フェリス、ジョルジュ・シムノン、エジソン、トリュフォー、ジョン・マッケンロー、スティーブ・ジョブズ、ロベルト・バッジョ、ルドルフ・シュタイナー、山本寛斎、志賀直哉、村上龍、桑田佳佑など、2月誕生の29人の人物評論。人気ブログの元となった、より長く、味わい深いオリジナル原稿版。2月生まれの必読書。
『暗がりでこっそり触って』(三井アキラ)
愛をさがし求める女探偵・北条冴子は、依頼を受けタレント志望の娘を尾行。娘の意外な素顔が明らかになっていくなか、冴子の前に現れた新事実とは。官能推理小説。「夜の探偵・北条冴子」シリーズ第二弾。
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