8月28日には、世界文学の最高峰と言われる二人の文豪が誕生している。『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『復活』を書いたロシアの文豪、レフ・トルストイ(1828年8月28日、ユリウス暦による)と、ドイツの巨星、ゲーテ(1749年)である。
自分がはじめて読んだ「ゲーテ」は、小学校のときに読んだ児童書『君よ知るや南の国』だと思う。幼いときにサーカス団に誘拐された薄幸の少女、ミニヨンが、寒い北の国ドイツで、故郷イタリアを思って歌う様子が痛切に悲しかったのを覚えている。
ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテは、1749年、ドイツのフランクフルトで生まれた。
ゲーテは7歳のときに天然痘にかかり、顔が変わった。彼の叔母は、
「まあ、いやだ! この子はなんと不器量になったんでしょうね!」
と叫んだ。(菊盛英夫訳「詩と真実」『ゲーテ全集第九巻』人文書院)
ゲーテは16歳のとき、ライプツィヒ大学に入り法律を学んだ。22歳でフランクフルトへ帰郷し、弁護士をしながら、戯曲『ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』を書いた。
22歳のとき、ゲーテは失恋を体験し、これをもとに書簡体小説『若きヴェルテルの悩み』を書き上げ、25歳のときに出版。失恋した主人公ヴェルテルが自殺するこの小説は、たちまち若者のあいだに大反響を呼び、全ヨーロッパに自殺を流行させた。これがゲーテの疾風怒濤時代で、彼は一躍有名作家になった。
26歳のとき、ヴァイマル公国の公爵から招かれ、ゲーテはその地へ越した。ゲーテは年下の公爵といっしょに、野に山に酒に女にと遊びまわていたが、33歳のとき、貴族に列せられ、公国の宰相となった。これで貴族の称号「フォン」が付き、彼は「ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ」となった。
47歳のとき、教養小説『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』を完成。その後、自叙伝『詩と真実』、科学論文『色彩論』、詩集『西東詩集』などを書いた。
1832年3月、世界文学の至宝『ファウスト』を書き上げた翌日、没した。82歳だった。
『君よ知るや南の国』は、ゲーテの長篇小説『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』のなかのミニヨンの挿話を独立させたものである。サーカス団でムチ打たれる少女ミニヨンに同情し、ヴィルヘルムはお金を出し彼女を引き取る。ミニヨンは歌う。
「君よ知るや 南の国
木々は実り 花は咲ける
風はのどけく 鳥はうたい
時をわかず 胡蝶舞い舞う」(堀内敬三訳)
自分を南の国イタリアへ連れていってよと歌いかける。この詩を読むと、自分はいまでも悲しみがこみあげてくる。
ゲーテはなにより、彼の、自分の外や内で起きたどんな嵐や災難にもめげず、つねに前に踏みだしていく、そのたくましい生きざまがえらいと思う。ゲーテはうたっている。
「財産を失ったのは──いくらか失ったことだ!
すぐ気をとなおして、新しいものを手に入れよ。
名誉を失ったのは──多くを失ったことだ!
名声を獲得せよ。
そうすれば、人々は考え直すだろう。
勇気を失ったのは──すべてを失ったことだ!
そのくらいなら、生まれなかった方がいいだろう。」(高橋健二訳「温順なクセーニエン」第八集)
(2013年8月25日)
●ぱぴろうの電子書籍!
『ここだけは原文で読みたい! 名作英語の名文句2』
「ガリヴァ旅行記」から「ダ・ヴィンチ・コード」まで、名著の名フレーズを原文で読む新ブックガイド。第二弾!
www.papirow.com
自分がはじめて読んだ「ゲーテ」は、小学校のときに読んだ児童書『君よ知るや南の国』だと思う。幼いときにサーカス団に誘拐された薄幸の少女、ミニヨンが、寒い北の国ドイツで、故郷イタリアを思って歌う様子が痛切に悲しかったのを覚えている。
ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテは、1749年、ドイツのフランクフルトで生まれた。
ゲーテは7歳のときに天然痘にかかり、顔が変わった。彼の叔母は、
「まあ、いやだ! この子はなんと不器量になったんでしょうね!」
と叫んだ。(菊盛英夫訳「詩と真実」『ゲーテ全集第九巻』人文書院)
ゲーテは16歳のとき、ライプツィヒ大学に入り法律を学んだ。22歳でフランクフルトへ帰郷し、弁護士をしながら、戯曲『ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』を書いた。
22歳のとき、ゲーテは失恋を体験し、これをもとに書簡体小説『若きヴェルテルの悩み』を書き上げ、25歳のときに出版。失恋した主人公ヴェルテルが自殺するこの小説は、たちまち若者のあいだに大反響を呼び、全ヨーロッパに自殺を流行させた。これがゲーテの疾風怒濤時代で、彼は一躍有名作家になった。
26歳のとき、ヴァイマル公国の公爵から招かれ、ゲーテはその地へ越した。ゲーテは年下の公爵といっしょに、野に山に酒に女にと遊びまわていたが、33歳のとき、貴族に列せられ、公国の宰相となった。これで貴族の称号「フォン」が付き、彼は「ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ」となった。
47歳のとき、教養小説『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』を完成。その後、自叙伝『詩と真実』、科学論文『色彩論』、詩集『西東詩集』などを書いた。
1832年3月、世界文学の至宝『ファウスト』を書き上げた翌日、没した。82歳だった。
『君よ知るや南の国』は、ゲーテの長篇小説『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』のなかのミニヨンの挿話を独立させたものである。サーカス団でムチ打たれる少女ミニヨンに同情し、ヴィルヘルムはお金を出し彼女を引き取る。ミニヨンは歌う。
「君よ知るや 南の国
木々は実り 花は咲ける
風はのどけく 鳥はうたい
時をわかず 胡蝶舞い舞う」(堀内敬三訳)
自分を南の国イタリアへ連れていってよと歌いかける。この詩を読むと、自分はいまでも悲しみがこみあげてくる。
ゲーテはなにより、彼の、自分の外や内で起きたどんな嵐や災難にもめげず、つねに前に踏みだしていく、そのたくましい生きざまがえらいと思う。ゲーテはうたっている。
「財産を失ったのは──いくらか失ったことだ!
すぐ気をとなおして、新しいものを手に入れよ。
名誉を失ったのは──多くを失ったことだ!
名声を獲得せよ。
そうすれば、人々は考え直すだろう。
勇気を失ったのは──すべてを失ったことだ!
そのくらいなら、生まれなかった方がいいだろう。」(高橋健二訳「温順なクセーニエン」第八集)
(2013年8月25日)
●ぱぴろうの電子書籍!
『ここだけは原文で読みたい! 名作英語の名文句2』
「ガリヴァ旅行記」から「ダ・ヴィンチ・コード」まで、名著の名フレーズを原文で読む新ブックガイド。第二弾!
www.papirow.com