6月18日は、『肉体の悪魔』の作家レイモン・ラディゲが生まれた日(1903年)だが、元ビートルズのポール・マッカートニーの誕生日でもある。

ジェームズ・ポール・マッカートニーは、1942年、英国イングランドの港町リヴァプールで生まれた。ファーストネームが父親と同じで、息子はミドルネームで呼ばれる。
ポールより2歳年上のジョン・レノンは、同じリヴァプールで、ナチス・ドイツによる空爆の真っ最中に誕生したが、ポールの誕生時には、いまだ戦時下ながら、すでに町への空襲はなくなっていた。ポールの父親はセールスマンで、アマチュアのジャズ・ミュージシャンだった。父親は息子が科学者になることを望み、看護士だった母親は、ポールが医者になることを期待していた。その母親は、ポールが14歳のときに没した。彼はその悲しみを乗り越えるため、音楽に熱中した。
15歳のとき、彼は夏祭りの音楽コンサートに出演していたジョン・レノンと出会った。二人は意気投合し、友情を誓い、どちらが曲を作っても、二人の共同名義で曲を発表する約束をかわした。「レノン=マッカートニー」の誕生だった。彼らのバンド「ザ・ビートルズ」は、史上最大の人気音楽グループとなり、世界の音楽業界、ショービジネスの構造そのものを変えていく怪物的存在となっていった。
「20世紀最大の音楽事件」ビートルズの中心が、ジョン・レノンとポール・マッカートニーで、この作曲コンビは「シー・ラヴズ・ユー」「抱きしめたい」「イエスタデイ」「ミッシェル」「ヘイ・ジュード」「レット・イット・ビー」など、数々の歴史的名曲を世に送りだした。1970年のビートルズ解散、レノンとのコンビ解消後は、ポールはソロ、または自分と妻リンダが中心のバンド「ウィングス」として音楽活動を展開。「マイ・ラヴ」「バンド・オン・ザ・ラン」「ジェット」「あの娘におせっかい」「心のラヴ・ソング」「夢の旅人」などの名曲を発表し、ポピュラー音楽史上最も成功した作曲家となった。世界音楽界最大の巨人である。

左利きのポールは、センス、テクニックともにロック史上最高のベーシストであり、世界中のミュージシャンに多大な影響を与えたが、ほかにドラム、ギター、ピアノ、キーボードなど、多くの楽器をこなすマルチプレイヤーである。ビートルズではベースギターを担当した彼は、どの楽器を演奏しても、メンバー中もっとも上手だったと言われる。

ポール・マッカートニーは、いちばん長く聴いているアーティストで、彼に関する書籍はたいてい読んでいる。ポールの考えについては、自分について以上にわかっている気さえする。つねに明朗で、ユーモアを絶やさないポジティブな天才、それが彼である。

ビートルズ解散後、ジョンとポールの仲が険悪だった一時期、マスコミの記者がジョンのに調子を合わせ、一緒になってポールの悪口を言うと、ジョンは言ったそうだ。「きみらにはポールのすごさがわかっていない。彼の悪口を言っていいのはぼくだけだ」。
ジョンが死んだ後、「ポールへ」と書かれた音楽デモ・カセットテープが遺されていた。二人の天才の出会い、彼らの友情、信頼関係はすべて奇跡的である。

ポールは、みずからの成功について言っている。
「At school from age eleven they said,'There are opportunities if you're smart enough.' Then London said,'You're smart enough, here are the opportunities,' and you're getting money and open doors to all these people.(11歳から通った学校で、こんな風に教わった。『チャンスは用意されている、じゅうぶんに賢い人間には』と。それでやってきてみたら、ロンドンがこう言うんだ、『きみはじゅうぶんに賢い。さあ、チャンスをどうぞ』と。それでお金が入ってきて、いろいろな人々と会えるドアが開かれたというわけさ)」(Barry Miles, Paul McCartney: Many Years from Now, Henry Holt and Company)
(2025年6月18日)


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