エドガー・ポーは、1809年、米国マサチューセッツ州のボストンで生まれた。両親はともに俳優だった。エドガーは3人きょうだいのまんなかで、上に兄、下に妹がいた。
エドガーが生まれた翌年、父親は家族を捨てて出ていき、その後、母親が肺結核で没したため、エドガーは、ヴァージニア州リッチモンドに住む裕福な商人で、ジョン・アランという人の家に引き取られた。そこで彼は、エドガー・アラン・ポーという名を名乗ることになった。
ヴァージニア大学に1年ほど通った後、18歳のとき、年齢を22歳といつわって陸軍に入隊した。陸軍士官学校をへて、雑誌編集にかかわるようになり、編集者として辣腕をふるいながら、詩や短編小説を発表しつづけた。
ポーは、米国ではじめて著述によって生活を立てようとした作家と言われる。が、当時はまだ著作権が確立されておらず、経済的にはひじょうな困難を強いられた。
発表した作品は好評で、ヨーロッパでも高い評価を受けたが、経済的には恵まれず、貧しい生活のなかで執筆を続けた。
1849年10月、メリーランド州ボルティモアの路上で倒れ、うわごとを言っているところを発見されたポーは、病院に担ぎ込まれ、その4日後に没した。40歳だった。
作品に、世界最初の推理小説といわれる『モルグ街の殺人』、短編小説に『アッシャー家の崩壊』『黄金虫』『黒猫』、詩に『大鴉』などがある。
ポーの作品は拙著『名作英語の名文句』の1、2の両方で取り上げた。取り上げたのは『黒猫』と『メールストロムの旋渦』で、いずれも衝撃的で偉大な作品である。
エドガー・アラン・ポーよりも江戸川乱歩の名を自分は先に知っていた。後で、ポーという作家名を知ったとき、なんだか乱歩に似ているなぁ、と思ったものだった。
小学生のときにはじめて読んだポーの小説は『メールストロムの旋渦』だった。すごい話だった。『死霊』を書いた埴谷雄高もこの作品を絶賛していた。
それは、船乗りが海で巨大な渦に巻き込まれた体験を語る話で、その人は機転をきかせてかろうじて助かったのだけれど、子どものときに読んでいて感じた、あのなんとも言えない恐ろしい印象は、いまだによく覚えている。この小説は、村上春樹の『スプートニクの恋人』に影響を与えていると、自分は確信している。
ポーの書いたものには、宿命の響きがある。人間のもつ重たい運命を、わしづかみにしてきて、どんっと机の上に置いて見せた、そういうすごみがある。
(2016年1月19日)
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