8月28日・トルストイの思想 | papirow(ぱぴろう)のブログ

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8月28日は、ドイツの文豪ゲーテが生まれた日(1749年)だが、ロシアの文豪トルストイの誕生日でもある。

レフ・ニコラエヴィチ・トルストイは、1828年8月28日(ユリウス暦による)、帝政時代のロシアのヤースナヤ・ポリャーナで生まれた。父親は伯爵で、母親は侯爵家のひとり娘。レフは4男だった。広大な領地を所有し、多くの農奴を抱える裕福な荘園領主の息子として生まれたレフは、1歳半で母親を亡くし、9歳で父親を亡くした。彼は親戚を転々とした後、13歳になる年にカザンの親戚に引き取られ、そこで育った。
16歳のとき、カザン大学の東洋語学科に入学したが、進級試験に落ちたりして、学業成績はふるわず、大学を中退して領地のヤースナヤ・ポリャーナへもどった。
19歳で領地を相続したトルストイは、ルソーの思想に感化されていて、自分の領地の農奴たちの生活向上に乗りだしたが、理解されず、彼の理想主義はうまくいかなかった。彼は領地経営を放り出し、モスクワやペテルブルクへ行って遊び暮らすようになった。
23歳のとき、コーカサス(カフカス)の砲兵旅団に入隊し、コーカサス戦争に従軍。そのとき、コーカサスの地で一気に書き上げた小説『幼年時代』が、24歳のとき、雑誌に載り、これが好評を得て、トルストイは注目の新進作家となった。
28歳で退役。ヨーロッパ各国を旅行し、ユーゴー、ディケンズ、ツルゲーネフなどに会った後、33歳の年に故郷のヤースナヤ・ポリャーナへもどった。
トルストイは、16歳年下のソフィア・アンドレーエヴナと結婚し、領地からあがる安定した収入と幸福な結婚生活に支えられ、創作に力を注ぎ、41歳のときに6年の歳月をかけた大作『戦争と平和』を完成した。そして、つぎに5年の歳月をかけ、長編『アンナ・カレーニナ』を49歳のときに完成。
トルストイの文名は世界的なものとなったが、その名声の頂点にあって、彼の心境は急激に変化していった。人生の無意味さに悩み、自殺まで考えるようになった。
彼は54歳のときに『懺悔(ざんげ)』を発表。それまでの自分の著作や生活、価値観をすべて否定し、新たな宗教観、芸術観による新時代に入った。民衆の側に立つ思想を深めたトルストイは『イワンのばか』『イワン・イリイチの死』『クロイツェル・ソナタ』『悪魔』などを書き、71歳になる年に長編『復活』を発表。悲運の女主人公カチューシャを描いたこの小説は世界的なベストセラーとなった。
トルストイは貧しい者の身の上を思いやるあまり家庭をかえりみなくなり、著作の印税を土地もすべてロシア国民に譲ろうと考えだした。彼の考えは、10人以上の子どもを育て家庭生活に危機感を覚えているソフィア夫人の考えと真っ向から対立するもので、夫婦はたびたび衝突した。1910年10月、トルストイはついに家出し、数日後に鉄道の駅で急性肺炎で倒れ、没した。82歳だった。

世界文学に屹立する巨人は数多いるけれど、トルストイほど姿の大きな文豪はいない。『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『復活』など、構えが大きい長編を筆頭として、中編短編にいたるまで、作品がいずれもどっしりとすわって、底にある思想が堅固である。どの作品にもいかにも文豪が書いたらしい完成度と感動がある。また、自分の弱さや苦悩、過去の過ちを隠そうとせずに明らかにする誠実、人間的な大きさを備えている。それがトルストイ作品の特徴である。それから、あの、ひげをたっぷりとたくわえたトルストイの肖像も、その偉大な印象にひと役買っているにちがいない、と考えるのだけれどどうだろう。
(2015年8月28日)


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