1月30日・ブローティガンの裏打ち | papirow(ぱぴろう)のブログ

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1月30日は、マンガ「サザエさん」の作者、長谷川町子が生まれた日(1920年)だが、作家、リチャード・ブローティガンの誕生日でもある。

リチャード・ブローティガンは、1935年、米国ワシントン州タコマで生まれた。
父親は工場労働者で、母親はウェイトレスだった。両親はリチャードが生まれる8カ月前に別れ、誕生したリチャードはべつの男と暮らす母親といっしょに暮らし、育った。
子どものころ、ブローティガンの家はとても貧しく、生活保護を受けていた。何日も食べ物なしですごしたこともあるという。
しかし、彼は大きくなった。ブローティガンの身長は193センチメートルあり、高校時代は、学校新聞の記者をしながら、バスケットボール部でも活躍した。
20歳のとき、ブローティガンは警察署の窓に石を投げこんで、現行犯逮捕された。これは、刑務所に入って食事にありつこうという魂胆からの犯行だったが、彼の目論見に反して、彼は25ドルの罰金を課された上、病院に入れられた。
精神科の医師は、偏執性の統合失調性と抑鬱症と診断を下し、ブローティガンは電気ショック療法を12回受けたという。
やがて退院したブローティガンは、いったんオレゴンの母親と、母親の再婚相手のもとで、いっしょに暮らした後、ひとり家をでてサンフランシスコに住み着いた。
サンフランシスコで、ミニコミ紙などに記事を書いていたブローティガンは、詩や小説を書きため、22歳のときに最初の詩集を出版した。そして、29歳のとき、小説『ビッグ・サーの南軍将軍』を発表。
32歳のとき、小説『アメリカの鱒釣り』を出版。この作品は全世界で400万部以上を売るベストセラーとなり、ブローティガンの名を一躍高らしめた。
以後、『西瓜糖の日々』『愛のゆくえ』『芝生の復讐』『バビロンを夢見て』『東京モンタナ急行』『ハンバーガー殺人事件』『不運な女』などを発表した後、1984年9月、カリフォルニア州ボリナスで自殺した。49歳だった。

1970年代の米国文学の風、カート・ヴォネガットとブローティガンは、どちらもユーモアと風刺精神に満ちた「新しい小説」を書く作家だった。ヴォネガットのほうが、より厭世的、皮肉的であるのに対し、ブローティガンのほうが、より楽観的、感傷的である。村上春樹や高橋源一郎らは彼らに強い影響を受けた。

自分は若いころからブローティガンを愛読してきた。この作者はきっと自然のなかで静かな生活を送る穏やかな人だろうと想像していたら、じつは本人はアルコール依存と抑鬱症に苦しみ、自殺したいといつも口にしていた人だったと、彼が死んだ後になって知った。ブローティガンは、ひとり暮らしの自宅で、44口径のマグナム銃で自分の頭を撃ち抜いた。遺体が発見されたのは、自殺してひと月以上たってからだった。

ブローティガンは、2度結婚し、2度とも離婚していて、2度目の奥さんは日本人女性だった。いずれの結婚生活も長くはつづかなかった。やはりアルコール依存と不安定な精神状態が障害になったようだ。『愛のゆくえ』の原題はThe Abortinon (人口中絶)である。
ブローディガン文学のやさしさは、暗い重たいものに裏打ちされていたと思う。
(2015年1月30日)


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