前に書いた通り、今回の選挙では消費税、アベノミクス、成長戦略などの経済が争点だと自民党は主張し、野党もマスコミもそれにすっかり踊らされている感がありますが、自民党幹事長の発言「選挙の争点は政府が決める」から察せられる通り、これは問題の本質を隠す偽りの争点です。誰も消費税延長に反対していないし、議員の任期はまだ2年あり、首相自身まだ途中で評価できないという経済政策の評価を、いま国民に問う必要がないのは周知の事実です。
では安倍晋三首相は、なぜいま選挙に打って出たのか、というと、考える余裕のない多忙な師走の時期に、なんとか選挙に勝ち、過去2年間の安倍政権がやってきたことを国民に承認してもらった、という恰好をつけたいからだと思います。
選挙が終われば、安倍首相はこう発言すると推測されます。
「わたしは国民の信任を受けました。わたしの政策を、国民のみんなが正しいと認め『これからも安倍さん、思う通りにやってくれ』そう背中を押してくれたのです」
そうして、独裁者のように好き放題をする4年間がはじまるものと思われます。
過去2年間の安倍政権の実績。
それはまず経済的には、借金して未来の税金を使い込んで、役人と役人OBたちを太らせ、大企業を潤わせることでした。その発言からすると、安倍政権が語りかけている国民とは、政治家と役人と財界人、富裕層の日本人のみと思われます。
国家体制的には、憲法と国民を無視してわが道をひた走ってきました。
衆議院(参議院も)の選挙について、最高裁から憲法違反の状態だと指摘され、一票の価値を平等に近づけるように都道府県別の指定枠を見直すよう指導がありましたが、政府はこれを完全に無視しました。憲法と裁判所をなめきっているわけです。
防衛問題もあります。自民党はずっと以前から「集団的自衛権」という新語を作りだして、軍拡方向へ走ってきましたが、そもそも国の戦争する権利を否定している日本国憲法には「集団的自衛権」や「自衛権」ということばは出てきません。
どう理屈をつけようと、海外に軍の船や銃をもった兵隊が行けば、それは侵略とみなされるのはとうぜんです。それは戦争行為です。
仮に、日本で大きな災害が起き、暴動が起きた場合に在日の同胞を守らなくてはならない、これは「自衛権の行使」「平和維持の協力活動」だといって、人民解放軍や北朝鮮軍の軍艦が沖に並び、中国・北朝鮮の武装兵士が日本にどかどか入ってきて駐留を続けたら、日本人はどう感じるか、と想像してみればわかりやすいと思います。
「集団的自衛権」は「海外派兵」のことばのすりかえと言えます。
明日12月10日施行の「秘密保護法」もことばのすりかえで、戦前の日本の「治安維持法」や、ナチス・ドイツの「民族と国家防衛のための大統領令」と変わらないと思われます。弾圧の政治がはじまるのはこれからです。
憲法を無視し、海外派兵と言論封殺への布石を打った安倍政権を、国民が信任する選挙、というのが、今回の衆院選の隠れた、ほんとうの争点だと自分は考えます。
もしも日本国民が戦争を回避したいのなら、おそらく今回の選挙が最後のチャンスになると思われます。
(2014年12月9日)
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