8月27日・ヘーゲルのアウフヘーベン | papirow(ぱぴろう)のブログ

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8月27日は、詩人、宮沢賢治が生まれ日(1896年)だが、哲学者ヘーゲルの誕生日でもある。アウフヘーベン(止揚)、弁証法のヘーゲルである。
自分は高校生のときから、ヘーゲルをすこし読んでいた。ゲーテ、カント、ベートーヴェンなど「ドイツらしいもの」は数多あるけれど、ヘーゲルこそ、その神髄という気がする。

ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルは、1770年、ドイツのシュトゥットガルトで生まれた。当時はヴュルテンベルク公国の首都で、父親はその国の財務官だった。
ゲオルクは、6歳のころ、天然痘で死にかけ、8歳のときにはシェークスピア全集を読んでいた。彼がテュービンゲン大学の学生だったころ、フランス革命が起こった。ヘーゲルは自由と平等の思想に感動し、友人といっしょに「自由の樹」を植え、革命歌を歌い踊り、禁書に指定された革命関係の書物をひそかに読む秘密読書クラブを作った。
啓蒙活動に熱中し、大衆にわかる哲学を志したヘーゲルは、貴族の家庭教師などをへて、31歳でイェーナ大学の講師になった。同大学の助教授だった36歳のとき、代表作『精神現象学』を書き上げた。この論文の最後を書き上げたとき、ちょうど、進軍してきたナポレオンが彼の家の前を通り、ヘーゲルはこの英雄を見たという。ナポレオンのイェーナ入城によって、大学は閉鎖となった。
48歳のとき、ゲーテに推薦され、ヘーゲルはベルリン大学の教授となった。同大学でのヘーゲルの講座は、学生たちのあいだで絶大な人気を誇ったという。
1831年、ベルリンでコレラが発生して、ヘーゲルはこれに感染して没した。61歳だった。

世界のあらゆる分野で応用されているといっていい、ヘーゲルの弁証法とは、かんたんに言うと、こういう考え方である。
植物のつぼみがある。このつぼみは、花が咲くと、花によって否定されたと言える。
その花は、実がなると、実によって否定されたと言える。
つぼみ、花、実は、それぞれ両立しない。たがいに否定しあっているけれど、全体としては有機的統一をもっていて、それぞれが必然的に全体を構成している。このように、
つぼみ……「正」
花……「反」
実……「合」
というように、世界のあらゆるものは、その内部に矛盾と対立の契機を含んでいて、それらがたがいに作用しあって、より高い次元へと止揚(アウフヘーベン)していく。
まず「正」があり、それに反対する「反」がある。その矛盾・対立する「正」と「反」をまとめて、一段高い次元へ引き上げられて総合したものが「合」であり、こうした総合によって社会は、つねにとどまることなく動き、発展しつづける、と考えるのである。

こういうがっしりとした組み立て、構築していく意志が、自分はドイツ的だと思う。

ヘーゲルは、カントの哲学を発展させた、ドイツ観念論の完成者である。ヘーゲルはカントの認識批判を、
「泳ぐに先立って水泳を習うもの」(山下太郎『西洋哲学史』明玄書房)
と批判したそうだ。この辺の言い方などウィットに飛んでいて、同じベルリン大学で教鞭をとっていた厭世的なショーペンハウエル先生の授業がぜんぜん人気がなく、ヘーゲル先生の人気に圧倒されて退職していったというのも、なんとなくわかる気がする。
(2014年8月27日)



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