2003年のこの日、ニュージーランドの上空、高度380キロメートルの宇宙空間に浮かんでいた国際宇宙ステーション(ISS)に、新郎のユーリ・マレンチェンコが乗っていた。
マレンチェンコは1961年、ウクライナ(当時ソビエト連邦)のスヴィトロヴォーツィク出身、航空学校、空軍工学学校をへて、宇宙飛行士になった男で、当時41歳だった。
新婦のエカテリーナ・ドミトリエヴァは当時27歳。彼女は、米国のテキサス州にいて、白いウェディングドレスをまとっていた。
地球をぐるぐるまわっている宇宙ステーションにいるマレンチェンコは、尻尾のある燕尾服を着た。同僚の宇宙飛行士たちが新郎介添え役を務めた。
この数千キロも離れた新郎新婦のやりとりを、テキサス州ヒューストンにあるNASAのジョンソン宇宙センターが衛生通信で中継し、式は進行し、無事に終了した。
マレンチェンコはその後、ロシア空軍の大佐となった。
ロシアの宇宙局とNASAはどちらも、挙式はマレンチェンコが地球に帰ってきてからでいいではないかと延期させようとしたが、折衝の末、最後には新郎新婦の意見が通ったのだという。
これにより人類の男女関係も、地上から舞い上がり、いよいよ宇宙時代に入ったと言えるだろう。そのうちに宇宙へハネムーンに行くカップルも出てくるかもしれない。
「もっと強く抱きしめて。わたしを離さないで。わたし、あなたを離さないわ」
などとくっついて結婚をスタートさせるから、すぐに別れるカップルが多いのかもしれない。
結婚の最初から何千キロと離れてスタートしたのであれば、これから先、これ以上遠い関係になることはないだろう、と、けっこう長続きするのではないかしら。
(2014年8月10日)
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