4/25・絢爛、チャイコフスキー | papirow(ぱぴろう)のブログ

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4月25日は、米ジャズ界の歌姫、エラ・フィッツジェラルドが生まれた日(1917年)だが、露国の作曲家、チャイコフスキーの誕生日でもある。
あの絢爛華麗なチャイコフスキーの音楽は、自分は子どものころからよく耳にしていた。というより、おそらく日本人なら、たとえその名を知らなくとも、みんな誰でも、チャイコフスキーの曲は聴けば「ああ」と思う。彼の作った曲は、それくらいポピュラーである。チャイコフスキーは、バレエ音楽「白鳥の湖」「くるみ割り人形」の作者である。

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーは、1840年4月25日(ユリウス暦による)、露国の鉱山都市ヴォトキンスクで生まれた。父親は、製鉄所の所長だった。ピョートルは子どものころから音楽好きで、5歳のころからピアノを習いだし、すぐに譜面が読めるようになった。
14歳のときに母親をコレラで亡くした。彼は法律科へ進み、19歳のとき、法律学校を卒業し、法務省に入省した。
その後、22歳の年に、一大決心をして、ペテルブルク音楽院に入学。しばらく役人生活と音楽学生と、二足のわらじをはいていたが、やがて役所のほうをやめ、音楽ひと筋に人生を賭けた。
25歳で音楽院を卒業したチャイコフスキーは、モスクワ音楽院の音楽理論の教授に就任。以後、ピアノ曲、室内楽曲、交響曲、歌劇など、さまざまな作曲を手がけた。バレエ音楽では、
36歳で「白鳥の湖」、
49歳で「眠れる森の美女」、
51歳の年には「くるみ割り人形」を発表した。そして、同年、訪米し、ニューヨークのカーネギー・ホールのこけら落としに出演。
1893年10月(ユリウス暦)、作曲した第6交響曲の初演をみずから指揮した9日後に没した。53歳だった。死因は、母親と同じコレラで、数日前に飲んだ生水が原因とされている。

チャイコフスキーは、バイセクシュアルだったようだ。
同性の音楽家たちと友情以上のつきあいをし、また、女性に恋をしたし、実際に結婚もした。
バイセクシュアルであること自体は、とくに不思議でもなんでもない。日本でも戦国時代の武将、江戸時代の将軍や侍、町人にいたるまで、男同士で関係をもちつつ、また妻帯もして子をもうける、というのはごくふつうにあったことだし、英国あたりへいけば、オスカー・ワイルドやデヴィッド・ボウイもバイである。三島由紀夫もそうだった。
ただ、チャイコフスキーの場合は、その性的志向が、日常生活とうまくかみ合わなかったようで、彼が妻といっしょに暮らしたのはほんのひと月ほどだった。あとはずっと離ればなれになった。
チャイコフスキーは、「妻を愛そうとするが愛せない」「妻がかわいそうである」「これがべつの女性でも同じ問題が起きたはずで、この不幸な結婚生活は妻のせいではない」などと、奥さんを弁護することばを書き残している。

自分は、オスカー・ワイルド、デヴィッド・ボウイのファンで、ゲイ同士で結婚した友だちもいる。性的志向についての偏見は、すくないほうだと思っているのだけれど、そういう自分が心をむなしうして、あらため考えてみるに、チャイコフスキーのあの音楽の華麗さ、絢爛ぶりは、なんとなく、デヴィッド・ボウイのグラム・ロックに通じる気がする。
グラム・ロックは、アーティストが派手に化粧をし、音を過剰に強調して演奏したロックだった。ボウイがかつて、
「グラム・ロックについてどう思う?」
とジョン・レノンに尋ねたそうだ。すると、ジョンはこう答えた。
「最高だよ。ロックに口紅を塗っただけだろう?」
そういうやりとりを踏まえ、思い切り敷衍して言うなら、チャイコフスキーは「クラシックに口紅を塗った音楽」なのかもしれない。
天才ショスタコーヴィチは、チャイコフスキーを評価しなかったそうだか、それもなんとなくわかる気がする。優れている、優れていないの話でなく、生理的に合わなかったのではないか。ショスタコーヴィチは、きっと口紅が嫌いだったのだ。

いま、カラヤンが74歳のときに振った、チャイコフスキーのバレエ組曲「くるみ割り人形」のCDを聴いている。
組曲「くるみ割り人形」は、大きく分けて九つの部分に部分に分けられるけれど、驚くべきことに、どの部分も、よく知っている、耳になじんだフレーズである。「小序曲」「行進曲」「トレパーク」「中国の踊り」、そして、チャイコフスキー音楽の真骨頂とも言うべき「花のワルツ」もいい。でも、いまはなぜか「こんぺい糖の踊り」がいちばん心になじんで美しい。
チャイコフスキーが、もしもいま生きていたら、ポピュラーや映画音楽の世界でも活躍して、世界的大ヒットを連発していたかもしれない。聴く者にそんなことまで想像させる、すごいメロディー・メイカーだと思う。
(2013年4月25日)




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