4/8・ブッダの覚悟
4月8日は、日本初の軍事政権を開いた源頼朝が生まれた日(1147年)だが、仏教の祖、ブッダ(お釈迦さま)の誕生日でもある。
この日、各地のお寺では、お釈迦さまの降誕をお祝いして花祭り(浴仏会)がおこなわれる(別の日におこなうところも)。
「ブッダ」こと、ゴータマ・シッダルタは、紀元前463年(異説あり)の旧暦4月8日に、現在のネパールのルンビニで誕生した。父親はシャーキャ族(シャカ族、釈迦族)の王さまだった。ブッダは王子として生まれたのである。
ブッダを産んだ母親のマーヤー(摩耶夫人、まやぶにん)は、出産の7日後に没した。そのため、母親の妹が、王の後妻に入り、ブッダの育ての親となった。
ゴータマ・シッダルタのことを、「お釈迦さま」と呼ぶのは、彼の種族名に由来する呼び名である。また、彼が「ブッダ(仏陀、目覚めた人の意)」と呼ばれるのは、正確には、彼が出家して悟りを開いた以降のことである。
ブッダは、王家の跡継ぎとして、なんの苦も知らない環境に育ったにもかかわらず、少年時代の彼は、内向的な、憂鬱に沈みがちな性格だったらしい。
16歳のとき、ブッダは、13歳の娘を后に迎えて結婚した。しかし、ブッダはなかなか后といっしょに寝ようとしなかった。
その後、ブッダは城外へ出て、「老い」「病気」「死」という苦しみが人間にはあることを知った。また、煩悩を断ち切って、悟りを得、輪廻から解脱して転生しなくなった「比丘(びく)」に出会った。以来、ブッダは出家したいという思いを募らせていった。
29歳のとき、ブッダはついに城を飛びだし、出家した。
各地の行者に教えを乞い、呼吸を止めたり、断食をしたりする苦行をした。そうして、苦行を重ねた末、どんな苦痛にも耐えられる自信がついたところで、
「こんなことをしていても、苦痛を起こさない心を得ることはできない」
と考え、苦行をやめた。
35歳のとき、ブッダは、ブッダガヤの菩提樹の下で座禅を組み、瞑想していて、ついに悟りを得た。ここに彼は、人生の究極の真理を見極め、「目覚めた人」=「ブッダ」となった。
ブッダは、菩提樹の下で、5週間のあいだ、解脱の境地を味わいつづけた。
彼は、自分が得た真理は、あまりに深淵で、難解なため、それをほかの人に伝えることの困難を思って、当初は説法することをためらっていたという。しかし、説法を決意し、各地を歩いては、人々に自分の得た真理について説いてまわった。
ブッダのまわりには、しだいに彼を信奉する弟子たちが集まり、弟子たちの集団はしだいに大きくなっていった。出家せず、在家のままで、ブッダの教えに帰依する王や富豪もでてきた。
そうした富豪の在家信者のひとりから寄進されたのが祇園精舎で、そこはブッダと弟子たちの修行場となった。
高齢になってもブッダは諸国を説法をして歩きつづけた。
紀元前383年(異説あり)、旅先で病に倒れ、クシナーラーの町の郊外の沙羅双樹の下で、頭を北に向け、からだの右側を下にし、ほお杖をついた恰好で没した。80歳だった。
自分の実家の菩提寺は、曹洞宗の寺なのだけれど、小さいころから、仏教には興味がなく、ブッダについてもほとんど知らずに育った。教科書レベルの知識しかなかった。
しかし、「不惑」と呼ばれる40歳くらいから、大いに惑いだし、この混乱した自分の精神をなんとか落ち着ける手だてがないものかと、仏教関係の本もすこしずつ読むようになった。『今昔物語集』も読んだ。『今昔物語集』の天竺・震旦部は、ブッダの誕生秘話からはじまる。第一話の冒頭は、ブッダがまだ生まれる前に、天界に釈迦菩薩としていた場面である。釈迦菩薩に天人五衰の兆候があらわれ、釈迦は天人でなくなり、人界へ下りて、人間のゴータマとして生まれ変わるのである。『今昔物語集』のブッダの話はとても楽しい。
そんなこんなで、すこしブッダについて知るようになった。
ブッダは、生きることを「苦しみ」ととらえていて、さらにその生が輪廻して延々とまわりつづけると考えていたようだ。
その苦しみの繰り返しから、脱却する方法が、悟りを得ることだという。
仏教のほうでは、究極的な悟りのことを「涅槃(ねはん、ニルヴァーナ)」と呼ぶ。ニルヴァーナとは、もともと火の吹き消された状態を指すことばで、煩悩の火が吹き消された、平安な心の状態をあらわすらしい。
そんな境地が、自分も欲しいと思うこともあるけれど、なかなか煩悩は去らず、悟りは遠い。
その悟りで得た智恵もさることながら、それ以前に、すべてを捨てて、真理を求めて走ったブッダの覚悟は、まったくすさまじいもので、自分などはとうてい及びがたいという気がする。
(2013年4月8日)
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