しあわせの牛乳~牛さん残酷物語② | 図書しどういんの読みきかせ日記

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教室から遠く離れたすみっこにある小学校の図書館には毎日子どもたちが駆け足でやって来てくれます。
図書館大好きな子どもたちと読んだ本の記録です。

結局この本の購入は学校側の反対により見送られ、子どもたちに読み聞かせをすることは叶いませんでしたが…

 

 

せめて、このブログ上だけでもブックトークをさせて頂けたらと思います(T_T)

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私「みんなが毎日給食で飲んでいる牛乳。あれは、どうやって作られているのか知ってる?



たぶん、みんなはあの牛乳を作る牛さんはこんな風に暮らしていると思ってない?」


私「ところが、実際は…
牛さんは、こんな広いところじゃなくて。狭くてお日様も見えない暗い牛舎の中で一生を終えるんだよ。

エサは海外からの輸入(そのせいで世界の裏側では飢えている人々が…)
途中腐らないように防腐剤まみれ

ほとんどの牛は、穀物のエサを食べてるんだけど、イネとか豆とかムギとかね。
でも、牛さんの体は本当は穀物じゃなくて草を食べるように出来ているの。

それなのに、牛乳をいっぱい作るためにという理由で輸入した薬まみれの穀物を食べさせられているんだよ。

だから、すぐに体を壊して数年で死んでしまうの。

こういう風に、人間の勝手な都合で牛乳を作ることを「近代酪農」って言うんだけど、その中で育つ牛さんの一生がどんなものなのか、みんなにぜひ知っておいてもらいたいと思って…お話しするね。


生まれて1,2か月…
  

子牛は乳しぼりには邪魔な角(つの)を麻酔もしないで切られます。
  
切り口には熱い焼きゴテを当てられ痛さのあまり大きな悲鳴を上げるそうす。 
言うことをきかせるために麻酔なしで鼻に穴を開けて鼻輪を通されます。
  
しっぽも乳しぼりに邪魔なので、きつく縛って壊死(えし)させます。

18か月…
人工的に妊娠させられます。

出産…
出産した赤ちゃんにお乳をやることもなく、なめることも出来ません。
そして、わずか出産2ヶ月後にはまた妊娠させられます。

草も食べず、外にも出ず、
妊娠→出産→妊娠→出産
を繰り返し、牛さんはわずか5,6年で死んでしまいます。
(普通は20年くらい生きる。)

死ぬと、まるで工場の部品を取り換えるように新しい牛が補充されます。

こういう過程を繰り返していくと、目が見えなかったり、歩けなかったり、異常な状態で生まれてくる子牛が多くなってくるそうです。



牛が大好きな中洞正(なかほら・ただし)さんは、

「牛がしあわせでない酪農はしたくない。
たとえ毎日牛乳が飲めなくても、しあわせに暮らす牛から美味しい牛乳を分けてもらった方が嬉しい!
牛がしあわせに暮らす牧場を作るんだ!」

と、大変な苦労をして牛さんがしあわせになれる牧場を作ったの。

どんな牧場かというと…

🐮牛の楽園 中洞牧場🌳

中洞牧場の牛たちは、牛舎ではなく山の中で暮らしています。(こういう酪農のやり方を山地酪農といいます。)


牛舎はありますが、牛さんが、
「あー、お乳が重くてしんどい。中洞さんに絞ってもらおう~」と思った時にやってくる場所です。

お乳を絞ってもらってスッキリした牛さんたちは、また山に遊びに行きます。

時々、中洞さんが牛たちを見に行くと、牛さんたちは、
「あ!中洞さんが来た!」
と寄って来て顔を舐めたりします。
みんな中洞さんが大好きなんですね!
中洞さんもすごく嬉しそうです。

「この牧場では、牛は好きな場所で寝て、好きな時に好きなだけ草を食べていいんだよ。

世話なんてほとんどしない。

近代酪農だと1頭につき1日20~30キロの糞をして片付けが大変なんだけど、
ここの牛たちは山の中で糞をするから糞はそのまま。
その糞のおかげで美味しい草が育つ。
牛がエサになる草を育ててるんだよ。」

牛を眺める中洞さんは、とってもしあわせそうです。


でも、中洞さんはこんな素敵な牧場を作るために何十年もとてつもない苦労をしてきたの。
この本は、そんな牛が大好きな中洞さんの挑戦の物語です。

ぜひみんな読んでみてね!

最後、先生号泣しちゃったよ!

📖🌻📖🌻📖🌻📖🌻📖🌻📖🌻

ぜひとも、ご一読下さい!

感動で最後は涙が止まりませんでした。

農協や国の指導員の圧力に屈せず戦い、牛のための牧場づくりをあきらめなかった中洞さんの姿を見ると本当に力づけられます。

この国で正しく普通なことをしようとするのは本当に大変な事なんだな…とあらためて思わされました。