「新国立劇場演劇研修所  第17期生  生公演朗読劇『ひめゆり』」
を、観て来ました。



はじめは、「戦争物なんて固そうだし、朗読劇なんてつまらなそう…」(すみませんお願いあせる)と、思っていたのですが、あに図らんや!びっくりあせる

めちゃくちゃ面白かったです!

感動しましたびっくりあせる

特に、まだプロではない(研修生)若い人たちが、初々しく、ひた向きに一生懸命熱演している姿にとても心打たれました。

研修生の方々は、ここに来るまでに、毎日毎日厳しい訓練や稽古を積み重ねて来られたそうで…

その努力の集大成がこの舞台に結集されているのです。

本当に上手でした。

また、「ひめゆり学徒隊」をテーマとした沖縄戦に対して、研修生お一人お一人が、とても誠実に勉強し取り組んでいて、大切に演じているのも、とてもよく伝わって来ました。

それに演出や脚本がいいのだと思うのですが、ほとんど舞台上には何もないのに、ありありとその場その場の情景、空気感が頭に浮かぶのが凄かった!

兵隊やひめゆりの学生さんたちは、追い詰められて「壕」と呼ばれる天然の洞窟に避難して身を隠すのですが、その時もじめじめとした不衛生な洞窟内の様子が手に取るように分かりました。

特に印象に残ったシーンは、上野の音大を首席で卒業されたという東風平(こちんだ)先生がいよいよ最期と追い詰められた壕の中で、生徒たちと共に「ふるさと」を唄う場面でした。

何か思い入れを入れる訳でもなく、音楽の先生が唄われるのだからキチンと音程を外さずに唄わねば…という誠実な唄い方が、押し付けがましくなく、かえって感動を呼び、涙を誘いました。

号泣しました。

本当に素晴らしかったです。


私は、恥ずかしながら「沖縄戦」についてほとんど興味がなく、何も知らなかったのですが、今回の劇で1つとても衝撃を受けた「事実」がありました。

それは、沖縄の人たちが考える悪者はアメリカではなく、「日本」なのだ、という見方でした。

私は、劇を観る前は、「沖縄戦」とは、沖縄の方々がひどいアメリカから大変な目に遭わされた戦争…という視点しかありませんでした。

沖縄の人たちを苦しめた敵は、アメリカ…

沖縄と日本は共に戦った仲間…

という風に思っていましたが、実は根底の所で沖縄の方々から恨みを買っているのは、日本…「ヤマトンチュウ(大和人)」だったのだ…ということを今回初めて知って衝撃を受けました。

私たち本土の人間が沖縄の人たちから「ヤマトンチュウ(大和人)」…と呼ばれているということも今回初めて知りました。

そして、沖縄の方々が私たちのことを「ヤマトンチュウ(大和人)」と口にする時、そこにどんな思いが込められているのか…

それは、舞台で発せられるセリフの端々から感じとることが出来ます。

日本兵が「沖縄のくせに!」とか、「沖縄のやつらは俺たちの世話をしていればいいんだ!」というセリフには、沖縄への侮蔑と差別が込められていました。

「今、沖縄の言葉を使ったな!」と刀を振り上げて切り殺そうとしたり、まだいたいけな女学生相手に無理難題を命令し、雨霰のように機関銃の弾が降り注ぐ中、「水を汲みに行け!」と言う兵隊もいました。

天然の洞窟である「壕」に沖縄の人たちが避難をしていると、日本兵の避難所として使用するからと追い出されたりもしたそうです。

しかし、沖縄の方々は、そんな日本を信じて、「私たちを必ず助けに来てくれる」と待ち続けましたが、助けなどは全く来ず…

沖縄はゴミのように見捨てられ、ただ日本の盾となっていいように使われたただけの存在でした。 


そして、沖縄の人たちが、アメリカに助けを求めて投降しようものなら、日本兵によって背後から打たれ射殺されたといいます。

運良く捕虜になった人たちは助かりましたが、それ以外の人たちは無惨な死を余儀なくされました。

余談ですが、この状況は、今のウクライナ戦にとてもよく似ていると思いました。

ネオナチのウクライナ兵が日本兵で、盾として監禁されたウクライナの人々が沖縄の人たち…。

戦果を逃れ避難するために、ロシアによって「人道回廊」が設けられましたが、それを利用して脱出しようものなら皆ウクライナ兵によって背後から打たれた、といいます。

時と場合は違っても、いつでも犠牲になるのは、「民衆」ということですよね…悲しい

そんな「ヤマトンチュウ(大和人)」への沖縄の方々の恨みは未だに根強いものがあるそうで…

ダンナが仕事で沖縄に行った時も現地のご老人が「ヤマトンチュウのやつら…」と、憎々しげに言葉を吐き捨てていて驚いたのだそうです。

親を失い、子どもに手を掛け、死ぬ道しか選べなかった沖縄の人たちのやり場のない怒りは、何年経とうと癒えるものではないのですから、無理もありません。

今回の劇で、その事がわかっただけでも観に来て良かったと思いました。

毎年、公演されるそうなので、ぜひ一度ご覧になられることをお勧めいたしますニコニコ