徹子の部屋で一番好きな回は、何と言っても『長谷川一夫』さんの回です。
5:30辺りから始まります↑
私ごときが生意気ですが…「粋」というのはこういう人のことを言うんだろうな~とウットリしてしまいます
着物の着こなしや所作が本当に上品で「色気」があります。
長谷川一夫さん言わく、
「今の着物教室とかではキチッとネクタイ締めるみたいに着るけど、僕ら子ども時代に教わったのは「ザックリ」着る。昔の着物はラフに着てたんですよね。」
ラフに着ると、懐に軽く手を入れたり、襟から手を出したりなど色々な仕草や表現が出来るそうで…
昔の人はこうやって着物を粋に着こなしていたんだな~と感心して眺めてました。
そう言えば…
不思議に思っていたのですが、
アメリカ映画に出てくる芸者さんはだいたい皆、着物をだらしなく着ています。
それを見ると何だか日本文化を冒涜されたような気がして「着物をちゃんと着てほしい!
」と、頭に来ていましたが、

長谷川一夫さんの話を聞いていると締め付けずにラフに着こなすのがほんとの日本流なのかもしれないな~と考え直しました。
浮世絵を見てもこんな感じ↓
でも、「だらしない」と「粋に着こなす」のとでは雲泥の差です。
欧米人がいくら浮世絵を見て日本人の着物を着てみても、「粋」は、決して付け焼き刃では真似出来ないよな~と思いました。
着物談義も良かったのですが…
その後の軍隊時代のお話が本当にいいんです

心が、ホッコリするような、とてもいい話でした。
長谷川さんが戦争中、入隊していた時の話です。
その時同じ隊に少し物覚えの悪い仲間がいて、上官の名前を毎回覚えられず、いつも殴られていたそうなんです。
可哀想に思った長谷川さんは、俳優で培った記憶のコツをその仲間に伝授して上げたそうです。
そんなある日、上官が来ていきなり、
「50メートルの縄をなえ!」
とみんなに命令したそうです。
都会育ちで縄なんてなったことがない長谷川さんは大慌てで縄のなえ方を教えてくれる人を探したそうです。
すると、一人ものすごい早さで手際よく縄をなう男がいたそうです。
長谷川さんは、急いでその男の所に向かい
「どうか縄のなえ方を教えてください」と、頼みに行ったそうです。
すると、その男は顔を上げ、イタズラっぽく「お前にこんなことは出来んだろう」とばかりに長谷川さんをチラッと見て嬉しそうに笑ったそうです。
長谷川さんが、
「何笑ってんだ!」
と少しムッとすると男は、
「だと思ったから、これは長谷川のをやっとるんだわ。」
と、言ったそうです。
その男は、なんと上官の名前も覚えられない、何も出来ないと思って色々教えてやったあの男でした。
長谷川さんはポロポロっと泣いたそうです。
「だからね、人間っていうのは自分だけが出来ると思って偉そうに名前教えたり歩き方を教えたりしてましたけど、私にも出来ない事があるっていうのを彼はちゃんと知っていて。
しかも、何も言わないで"長谷川のだわ"って編んでくれてたんですよね…。
その人間としての感激って言うんですかね…今でも思い出すと涙が出ますね。」
この話を聞くと、人間の情けや情の温かさみたいなものを感じて、ジーンとしてしまいます

今は、こんな話とんと聞かないような…
自分には、人に情けをかけたりかけられたり…なんて、
こんな経験あるのかな…と考えてしまいました。