「腸が動けば身体も動き出す」

これは、父親にテルミ―をやってみて実感したことです。

父親復活のカギはまさに「腸」でした。

いくら自然療法をして身体にいいものを食べても、吸収する腸がカチンコチンでは栄養が全部流れて意味がありません。
なので、腸を元気な状態にしておくことはとても大切なことでした。

それに、免疫細胞の70%が集まると言われている腸が元気になれば身体全体が元気にならないはずがありません。

でも、腸は放っておくとすぐ癒着して固まって動かなくなってしまいます。
盲腸や帝王切開などの手術の後がある人は尚更です。

マッサージをすればいいと思いますが、酷いとそれもあまり効果はありません。
父親の場合はテルミ―を毎日お腹によーく掛けました。(身体全体もですが)
手でやっても何も効果がなかったのにテルミ―でやると「グググ~!」と恥ずかしい位に大きな音を立てて面白いように動き出します。

プラス、歩けるようにと足にも、特に太ももによーくテルミ―しました。
動けない人でもテルミ―をすることにより筋力を鍛えたのと同じような効果があるので、寝たきりの父親にはうってつけでした。

そして、何週間かすると父親は自分でベッド横のポータブルトイレで用を足すようになり、そのうち歩行器を使い自分でトイレに行き、しばらくすると歩行器も使わずにトイレに行くようになりました。

(寝たきりの人は「腸」「太もも」が肝だな)と実感しました。

たぶん、寝たきりの方のお腹を触ると腸がカチンコチンに固くなっていて、太ももはブヨブヨに柔らかくなっているはずです。

父親はこうして誰に介助もされずに普通に自立して日常生活を送ることができるようになりました。


介護用品のレンタルサービスの方がうちに訪問されたとき、父親がちゃんと座っているのを見て驚いていました。

私が、
「もう、歩行器もポータブルトイレもあれもそれもいらないので持って帰っていただけますか?」
と言うと一瞬沈黙したあと憮然として「じゃ、我々はもう必要ないということでしょうか?」と言いました。
私も、そういえばそうだ!とハッとして
「そうですね。」というと、一番始めに来たときの満面な恵比寿顔とはうって変わって無愛想に、でも信じられないといった不思議そうな様子でレンタル品を次々と回収して行きました。

レンタル業者は初めてうちに来たとき
「これからお父様の容態によって介護スタイルもどんどん変わってレンタル品も増えていくと思うので何でもご相談ください。」
と言っていて、
「これからどんどん悪くなるだろうからジャンジャン儲けるぞー!」
というつもりだったのでしょうから、今の父親の状態が信じられないのも当然なのでしょう。

そして、ケアマネさんにも状態を見て頂き、「要介護5」の認定がはずれることを了承し、こうして父親の介護が終わることになったのです。