クリスマスも終わり大晦日が近づくと父親の「退院したい病」が悪化してきました。

私が病室に入るなり開口一番、
「いつ退院?今日?」
と詰め寄ります。

「家で紅白が見たい。」と呟く父が哀れでした。

確かに病院で年末年始というのも可哀想でしたし、このまま病院の言いなりになって24時間点滴の管に繋がれて薬付けにしておいても回復の見込みはなさそうです。

父の入院を経験してわかったことは病院の第一優先としていることは常に
「病院がやりやすいようにやる」
ということでした。

すべて「病院の都合」なのです。

患者さんの都合などは二の次なのです。

父親が病院をやっていたので幼いときから病院の中で育った私にはこの
「病院の都合」
というものが手に取るようにわかります。

医師をはじめ職員の人たちはもっともらしいことを言って患者さんや家族を言いくるめて、常に自分たちの都合のいいように治療のレールを敷いていきます。

病院と接するときに気を付けなければならないのは自分の中で、
最優先事項をしっかり決めて
絶対に譲らないことです。

こと病院においては「いい人」になる必要は全くありません。

お世話になっているんだから…と遠慮する必要もありません。

私の中では、
「父親のしあわせ」
を最優先事項にしていました。

そのため「病院の都合」を最優先事項にする病院側とは常にぶつかりました。

退院もいつまで経っても絶対に承知してはくれません。 

病院側の最後の悪魔の囁きは、
「だって入院させておいた方がご家族も楽でしょ?帰ったら大変ですよ。」
でした。

(確かにそうだ…)と揺らいでしまいましたが、優先事項を決めていたので(父のしあわせではない)とキッパリ引き下げました。

周りの病室を見回すと病院のご都合通りに言うことを聞く優等生の患者さんたちが生きる屍となってベッドに死ぬまで繋がれています。

この頃私はよく思い出していた出来事がありました。