担当医は、
「お父さんは悪くなることはあっても良くなることは決してない。」
と私に断言しました。

絶望しながらも何か出来ることはないものかと行きつけのアロマ屋さんを訪ねました。

アロマで父の精神が安定すればと思ったのです。

同じ時にSさんもお客としてその店に来ていました。

二人でお店の人が出してくださったハーブティーを飲みながら話をしました。

Sさんとは初対面です。

Sさんは不思議な人で生年月日と名前を見ただけでその人のことがわかると言いました。
(余談ですが、作家の村上春樹もできるとご自身で書いていました。結構そういう人いるんですね。)

これを職業にしようか迷っているので練習させてほしいと私に頼んできました。

面白そうなので引き受けると私に家族の名前と生年月日を書かせ、やおらジッとそれを見つめ、
「お姉さんは今どうされてますか?」
と聞いてきました。

私は少しドキッとして、
「結婚してアメリカにいますが」
と答えました。

しかし、それは嘘で、確かにそうでしたが自死して今はいません。

現実を受け入れられない母が、姉が亡くなったことを認められず、友人にも親戚にも話さないようにと固く約束させられていたのでそう答えるしかありませんでした。

Sさんは、
「ふーん」
と眉をひそめると
「この方短命と出ていますから気を付けてくださいね」
と言いました。

私は心臓が止まりそうなほど驚きました。

ビックリはまだ続きました。